追跡『中国珊瑚密漁団』 NHK クローズアップ現代  文字起こし版 | セレソン №9 のブログ

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追跡“中国サンゴ密漁団”
日本の海が狙われる

「日本の小笠原産のアカサンゴです。」

段ボール箱いっぱいの高級サンゴ。
中国人グループが密漁したものと見られます。
小笠原諸島周辺の海に押し寄せる中国漁船。
狙いは海の宝石、アカサンゴです。
世界的に希少で、かつてないほど高騰するアカサンゴ。

「947万1,000円。」

日本の漁場で夜も違法操業が行われていると見られています。

海洋生物学者
「最悪のシナリオは、取り尽くしてしまう。」

取材班は、密漁で巨額の金を稼ぐというグループと接触。

「ばれないように売りさばく。
20億円ぐらい稼いだ人もいる。」

摘発を免れる闇取引とは。

「密漁団と加工業者が組んで金をもうける。
簡単には捕まらないよ。」

貴重なサンゴに群がる中国の漁船団。
知られざる密漁の実態に迫ります。

追跡“サンゴ密漁団” 中国の拠点を直撃

小笠原諸島の沖合で取材中、目の前に現れた中国漁船です。
カメラを向けても動じる様子もない漁師たち。




さらに、堂々と海に網を垂らす船にも遭遇。
サンゴの密漁と見られます。




中国漁船に記載された文字。
所属する地域が記されています。
福建省を示す文字が読み取れました。
取材をもとに割り出した港です。
ずらりと似たような漁船が停泊していました。

甲板にはサンゴ漁でよく使われる網。
そして、サンゴ漁で使用されるおもりが大量に積まれていました。
私たちは漁船団を取りまとめているという会社を直撃しました。
すると、驚くべき答えが返ってきました。


船会社の従業員
「私たちが行っているのは日本の海です。
サンゴがあるならどこにでも行きますよ。
密漁している船は数えきれません。
日本の海域ですから、海上警察が目を光らせていて追い出されることもあります。
みんな違法だということは知っていますが、うまくこっそりとサンゴを採るようにしていますよ。」

密漁したアカサンゴは、中国政府の監視をかいくぐって闇市場に流していると語りました。

船会社の従業員
「運がよければものすごい稼ぎになります。
1回の漁で20億円くらい稼いだグループもいますよ。
そのグループは5人でしたが、ひとり4億円のもうけでしたね。
いま中国でもサンゴ漁はすべて違法です。
もしサンゴを採っているのがばれれば、船を差し押さえられてしまいますよ。
ですから、政府にばれないように闇市場で買い手を探して、水面下で取り引きをしています。」

どう摘発を逃れているのか。
もう1つの拠点と見られる浙江省の港で、その一端が見えてきました。
小笠原沖で撮影された船の番号の会社を突き止め、取材しました。

「この船なんですけど、この会社の船ですよね?」

船会社 社長
「うちの船じゃない。
船の番号はうちのだけど。」

この会社は自社の船の位置をすべてGPSで管理しています。
自分の船は中国沖合を操業中で勝手に番号を使われたのだと語りました。

証言のとおり、港には船の偽装を請け負う業者が至る所にありました。
船の番号などを偽る工作は常態化しているといいます。



漁船の船長
「漁業免許や船の番号がなくても、よそから手に入れるんだ。
どうしても金がほしい人が、サンゴの密漁に手を染めるのです。
アヘンと同じ、ちょっとした犯罪の感覚ですよね。」

漁村の住民
「サンゴの密漁はそれなりの覚悟が必要です。
みんな見つからないよう工夫しています。」

漁師たちが携帯電話に保存した写真を見せてきました。

地元の漁業者
「これ見てください。
ごく最近、知り合いが採ったものです。」

密漁したという巨大なサンゴの写真でした。

地元の漁業者
「禁止されているサンゴだよ。
赤ければ赤いほどいいんだ、高値がつくんだ。」

記者
「どこで売っているのか知りたい。」

地元の漁業者
「絶対見つけられませんよ。
取り引きについてはいっさい言えない、情報は話せないよ。」

中国漁船が日本にまで押し寄せる背景には、国内の厳しい規制があります。
中国では乱獲でアカサンゴが激減し、パンダと同じレベルの保護を義務づけています。
採取は原則禁止。
当局も取締りを強化しています。

追跡“サンゴ密漁団” 闇の台湾ルート

取材を進めると、厳しい規制をかわす闇のルートが浮かび上がってきました。
古くからアカサンゴの加工技術が世界的に評価されてきた台湾。
指輪やネックレスなど、加工後は値段が跳ね上がります。
高額な商品は1億円にも上り、中国の富裕層が投機の対象として購入するといいます。
台湾の大手宝飾店の経営者です。
最近、ある中国人からアカサンゴの購入を持ちかける連絡が相次いでいるといいます。

大手宝飾店 経営者
「これは日本の小笠原産の赤サンゴですよ。」

先月(10月)メールで送られてきた画像。
段ボール箱いっぱいのアカサンゴです。
しつこく購入を迫られましたが、断ったといいます。
台湾で長年サンゴの加工業を営む男性です。
密漁団から積極的に材料を仕入れる業者も少なくないといいます。

サンゴ 加工業者
「密輸といってもおかしくない。
中国のグループから材料を購入し、工場がたくさんある台湾で加工するんです。」

取材から浮かび上がった構図です。
密漁したサンゴを台湾に持ち込み加工。
台湾産と偽って中国の富裕層に向けて売りさばくというのです。

サンゴ 加工業者
「密漁団にとっても加工業者にとっても、金もうけさえできればいいという話ですよ。
捕まったら一巻の終わりですが、そんなに簡単には捕まらないですよ。」

“中国サンゴ密漁団” 日本の海が狙われる
ゲスト富坂聰さん(拓殖大学教授)

●どんな人たちが密漁している?

これはですね、とにかくお金になるとなったら、どんな遠くでも行って、チャンスにかける人々というふうに考えていいと思いますね。
特にやっぱり、今回のサンゴのような大きなお金になるものじゃなくて、普通の魚を取るんでも、南氷洋まで行ったり、地球の裏側まで行って南米の国々で捕まったりとか、そういう人たちが本当にお金になると思って来ているというふうに考えています。
(刑罰などはあまり怖くない?)
そうですね。
この人たちは、やっぱりその刑罰を飛び越えてしまう、それぞれだけのやっぱり背景として、貧しさがあるというふうに考えていいと思います。

●突然、多くの中国船が小笠原諸島周辺に現れた理由は?

情報だと思いますね。
これは大もうけをしたという人が何人か出て、その情報が漁師の間を駆け巡った。
それで、われ先にと殺到したということだと思いますね。
中国ではこういうもうけ話が出ると先行者が得して、その門が閉まってしまうまでに飛び込めるかどうかっていうのが、大きな1つのポイントになりますので、殺到したということだと思いますね。

●中国周辺では今、採取することは禁止されている?

そうですね、中国の付近もそうですけれども、台湾でも採り尽くされた感がありますので、それで日本のほうにやって来たということですね。
特に沖縄のほうは、採り尽くされたとは言えないんですけれども、やっぱり警備が厳しいですから、それよりは手薄な小笠原にという判断じゃないかと思いますね。

●中国と台湾 闇のルートについて

これは最も重要なポイントだと思います。
これは80年代に、もうすでに確立された「洋上交易」という、そのものなんですけれども、これは台湾と中国の間に経済格差が生まれて、台湾の漁師は人を雇って、人件費を払って自分で漁をするよりも、中国の漁師が取った魚を買うほうが、これはもう得だという状況が生まれて、海の上で魚を取り引きするようになった。
そのうちに、その魚のおなかに、いろんなまあ、銃器であるとか、薬物であるとか、偽たばことか、偽札とか、そういうものが入ってきて、いわゆる闇のマーケット化していったと思われていますね。
ですからサンゴをさばくというのは、お手の物だということですね。

“中国サンゴ密漁団” 荒される小笠原の海

小笠原諸島父島の夜の沖合です。
連なるのは漁船団の明かりです。
一昨日(10日)の夜も、多くの船が確認されました。
こうした状況がすでに2か月近く続いています。


母島でサンゴ漁を営んできた、平賀秀明さんです。
貴重なサンゴを守るため、地元の漁業者は夜間の漁を禁止したり網の数を制限したりしながら漁を続けてきました。



先週、漁の最中に、中国漁船に妨害を受けたといいます。
そのとき撮影された写真です。

平賀秀明さん
「来た来たって言っているうちに、自分たちにまっすぐめがけて網をおろして始めた。」

今週、サンゴが多く生息していた漁場で網を入れました。
しかし、全く採れませんでした。

平賀秀明さん
「あの狭いところで10隻ぐらいでやっていた。
10日間くらいやっていたから、今あるかどうか分からない。」

サンゴは一度取られてしまうと、元の状態に戻るには20年以上、大きなものは100年ほどかかると専門家は指摘します。

立正大学 岩崎望教授
「非常に大きなダメージですね。
回復するまでに長い時間がかかる。
最悪のシナリオは取り尽くしてしまう、サンゴを。」


島の主力産業となっている観光への影響も懸念されています。
ホエールウオッチングなどで有名な小笠原。
フェリーの乗客の前に現れたのは、中国漁船でした。

女性
「怖い気がする。」

男性
「苦々しいですね。」

島の観光業者たちは、今の状況が長引けば大きな打撃になると不安を強めています。

「釣りのお客さんが観光で来る。
釣りのポイントに連れて行こうと思ったら、中国漁船がいて行けなかった。」

「父島の船がクジラを見に母島に来るツアーがなくなってしまう、中国漁船の影響で。」

“中国サンゴ密漁団” 苦慮する海保

押し寄せる中国漁船に、日本側は難しい対応を迫られています。
海上保安庁の現場トップの経験者は、限られた船で対応するには工夫が必要だと指摘します。



一時、200隻を超えた中国漁船。
これに対し日本側の態勢は、巡視船など5隻余りです。
1隻の漁船を検挙すると、取り調べや保安部がある横浜へのえい航のため、日本側も1隻減ってしまいます。
そのため領海内の船を追い出したり、領海に入らないようブロックしたりしています。

元海上保安庁 岩男雅之さん
「現認(密漁現場の確認)したものは現行犯逮捕で捜査をするんでしょうけど、その前の段階で漁をさせない、領海の中に入った船は効率的に追い出す。」

海上保安庁が選択したのは、持久戦です。
漁船の大きさから燃料はおよそ50日分と推定。
燃料が尽きるまで長期間監視を続けることにしたのです。

元海上保安庁 岩男雅之さん
「領海から追い出す、それを何回も繰り返すことで漁船のほうは燃料を使ったり、水・食糧を使ったり。
いつか中国漁船のほうが帰る日を決断しなければいけない。」


今週、漁船の数は3週間ぶりにおよそ60隻にまで減りました。
しかし警戒は今も続いています。

“中国サンゴ密漁団” 日本の海を守るために

●日本の罰則が緩やかすぎるのではないかと言われているが?

そのとおりだと思いますね。
特にサンゴは1つ、2つ、大きいのがあがった時に、これはもう一生ものですよね。
そういうリターンを考えると、やっぱり領海内でも400万円ぐらいの罰金と、これ初めての場合ですけれども、EEZ=排他的経済水域ならば1,000万円ですけれども。

でもそういうことを考えても、やっぱりその海から上がるリターンを考えると、相当に、抑止にはならないと考えられますね。

●消耗戦に持ち込むという海上保安庁の戦略について

今、日本の持ってるものでやるという意味では、これは私は非常に有効だと思います。
ある意味ですね、これは経済的な面から打撃を与えるというのは一番敏感な部分になりますので、見てくれはちょっとよくないですけれども、彼らには確実にダメージになると思いますね。
(追いかけ回して操業できないようにして、そのサンゴを採れないようにする。)
それはやっぱりそのやりにくいなということを思うだけでも、かなり違うと思いますね。
(荒々しいことをして、衝突などが起きることよりも…。)
そうですね。
むしろ、そこでやってしまうと、中国当局がへそ曲げたりとか、いろいろ不具合が出てくるので、それよりもやっぱり、協力する中でできることをやっていくということが非常に重要じゃないかなと思いますね。

●海上保安庁が船番などの情報を中国に提供すれば、取締りが確実に行われる可能性は高まる?

中国は今回の件は、やっぱり世界的に恥だというふうに見てますので、ある意味、取締りのほうは積極的にやると私は思います。
しかもその港湾警察というのは非常に手法として得意としていますので、特定するということはできると思いますね。
さらにポイントは、中国で裁く場合は、例えば密漁団とか密売組織とか、いわゆるマフィアという要素が入ってくると、刑罰が一気に厳しくなるということで、やはり密漁する人々、犯罪を犯す人々にとっては相当な警告になると思いますね。
(日本で逮捕されて受ける罰則よりも、中国で取り締まられたほうが厳罰になる?)
これは確実に、確実に効くと思いますね。

●なぜ日本のサンゴの価格はこの5年で4.5倍にもなった?

やはり、これまで土地に向かっていたお金とかそういうものが、土地がもう上がらないので思ったようなリターンが得られないというようなこともあって、お金が余っているという部分がありますね。
それがもうサンゴとか、日本でも意外なもの、例えば南部鉄器の値段がぎゅーっと上がったりとか。
(投機?)
世界各地で意外なものが、ものすごい高騰を続けているという現象を生んでいるんですね。

●希少な資源を中国漁船が乱獲していること、中国にとって国際的にイメージを損なうのでは?

中国はやっぱり世界の中で、それなりの地位を得たいというのが今、次の課題になってきますので、中国はそれは気にするので、日本が強い声を上げて、そこの部分、中国が何をしてるのかということを、強調していくのが非常に重要なことだと思います。
(日中関係も最悪と言われてきたが、ここが1つの協力の形に?)
象徴的な協力の関係ということで、新しい協力の形を作れるかもしれないですね。