ベンチャー企業は新卒採用活動を行うべきか? | Work , Journey & Beautiful

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創業して1~2年で新卒採用を行う企業は少なくないが、そもそもベンチャー企業って、新卒採用を行うべきなのだろうか?前回の記事でも書いたように採用して、戦力化するまでに3年かかるとすると、ざっと戦力化まで実に5年という時間と2000万円程度のコストがかかる。それだけのスパンとコストをふまえて、投資対効果が見込めると判断しているかというと微妙なところだ。


一部の採用コンサルタントは「ベンチャー企業は中途採用をしたって、ろくな人を採用できませんよ。その点学生は世間も社会も知らないんで、他と比べられることもないし。帰属意識も高いため長く働いてくれます。優秀な人材をとりたいなら新卒採用をすべきですよ!」と勧める。オーナー社長の目から見ても、自分のビジョンや理念を熱く語れば語るほど目を輝かせて聞いてくれる学生の姿は時に激しく魅力的に映る。その姿勢は社員のそれとは較べものにならない程に前向きで積極的だからだ。あたかも自分が「夢をかなえた人間」のような気分になることすらある。新卒採用活動というのは一部のオーナー経営者にとって麻薬にもなりうる。


極端な例だけれど、新卒採用を重視しているベンチャー企業」というのははっきり言って危険だ。まず何よりも危険なのは同じような考え方ばかりをもった人間の集団になる。これほど組織にとって危険なことはない。思考が均質化した組織からイノベーションは生まれない。クライアントへの自分たちのサービスが最適なものかどうかを問いただすことはなくなるし、ライバルは誰か・どう見られているか?を踏まえ組織を成長させようと考えることもなくなる。組織としての現状維持は停滞ではなく衰退をもたらす。


上記のとおり新卒採用で入ってきた社員は「他の世界」を知らないためにあまり文句を言う恐れもない(もしくは言われたとしても説き伏せやすい)ので、がむしゃらに働かせて労働環境を整備しようとしないことが多い。


指導できる人材がいなければ組織が組織として成長せず、人を育てる仕組みも生まれない。成長機会という名の現場丸投げは「場慣れ」は早いが適正なフィードバックを受けなければ身につくものは度胸だけだ。


結局自分の成長に自信が持てず、普通の感覚だと不安に駆られ辞めるかもっと快適な環境を求めて外に飛び出す。その繰り返しで10~50名程度の人数幅を行ったりきたりする企業はすくなくない。そんな組織環境で新卒採用をやるってのはあまりに非効率だ。エージェントに数百万円を支払って優秀な中途社員をリクルートした方がよほど合理的だろう。




そんな中、僕がいる会社では新卒採用活動を本格的に行うべく活動を行っている。(というか僕自身はその責任者だ)。創業8年目、ここに踏み切ったのは徐々に環境が整ってきた、という実感と徐々に「組織」が形成され、人が育つ仕組みが醸成されつつある、と感じているというのも大きな要素の一つ。とはいえそれは仮説であって、これから実際に検証していかなくてはならない。とにもかくにも採用活動を進めながらも整えるべきものは整えていかなくてはね。

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