かなり昔にこんな記事を書いて紹介した、海外ミステリ『カササギ殺人事件』。
これがドラマ化されていたのは知っていたんですが、このほどようやく私の視聴環境に降りてきたので、全6話をむさぼるように拝見しました。
そうしたら・・・控えめに言ってExcellent!!!![]()
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これね、作家本人が脚本を書いているんですよ。
しかもこのアンソニー・ホロヴィッツという作家は、有名作品をいくつも手がけた手練れの脚本家。
だから小説を「映像ならでは」という料理の仕方をしていて、めっちゃ面白いし、めっちゃ凝った作りなの!
原作のあらすじを簡単に書くと、主人公の女性編集者・スーザンが、大人気ミステリ作家から届いたばかりの新作の原稿を読む。
しかし、なぜか結末部分の原稿がない!!
部下のコピーミスか?と怒りながら週明けに出社すると、なんと、そのミステリ作家が殺されていた!
社運を左右する大事な新作の結末はどこにあるの?
だれが作家殺しの犯人なの?
と、スーザンは関係者の間を探し回る。
という謎解きミステリです。
この小説内小説がアガサ・クリスティ風で、これだけ読んでも十分面白いんですよ。
でね、このミステリ作家は性格がねじ曲がっているので、自分の周囲の人を小説内に登場させては、おマヌケだったり、貧乏だったりと、ひどい役をあてがうんです。
だからホロヴィッツは、ドラマの「現実パート」に出てくる俳優が、「小説内小説パート」で自分があてがわれた役を演じるように設定したんですよ!
たとえば、現実パートで刑事を演じる俳優が、小説内パートでは(探偵小説ではお約束の)マヌケな警部役を演じる、って感じ。
殺人の舞台となるお屋敷も、現実と小説内で同じ場所。
同じ名前で同じ建物のパブもでてくる。
だから途中で絶対にこんがらがるのよ!!
え、今って現実?小説内?って![]()
だって、なんの合図もなく、いつの間にか現実パートと小説内パートが入れ替わってるんだもの![]()
ひどいときには、小説内で誰かがくしゃみをすると、現実の人がびくっとなったりするの。
もうどっちがどっちなんだか![]()
そのうちに見分けるコツがわかってくる。
たとえば、スーザンが乗る車は赤だけど、探偵が乗る車は緑。
今、赤い車が走ってるから、今は現実、とかね。
もうひとつ映像ならではなのが、スーザンに寄り添い、ときにヒントを出す探偵。
もちろん、探偵は小説内の登場人物なんだけど、何度も小説を読むうち、スーザンには探偵の姿がありありと見えるようになってきたらしく、現実内で何度も彼と「会って」会話を交わすようになるのよね。
こういう場面は小説で読むと陳腐になるけど、映像だと面白い。
一種の自問自答なわけだけど、気づくと探偵が赤い車に乗り込んでいてスーザンの彼氏を疑うような発言をしたり、現実の犯人と対決してケガをし、入院したスーザンのお見舞いに来たりするの。
この探偵がまたなんていうか独特の風貌で、いかにも古き良きイギリス紳士風の物腰なんだわ![]()
最後に、スーザンは探偵と一緒に小説世界に入り込み、小説内小説の犯人当て現場に立ち会う。
探偵以外には見えないのをいいことに、「早くしてよ」なんて口を挟んでくるスーザンが面白かった。
ただ、現実パートの犯人を当てるための最大のヒント、私が前のブログで「職業柄気づくべきだったのに、なぜココに気づかなかったのか!!
」と歯がみしたヒントは、映像では使われない。
あれは「実物の本」という「ペーパー」だからこそ効果的なトリックであって、映像にしちゃうとちょっと、ね💦
このほか、たまにカササギが木の枝や建物に止まっているインサートが写るんだけど、小説の章を追うごとにカササギの数が増えていくなど小技も効いてるの。
さらにね、私が「これ・・・日本語字幕でどう出すんだろ
」と思ってた、とってもお下劣なワードがあるのよ。
このワードを出さないと犯行動機がわからなくなるから、絶対出すはずと思ってたら・・・1文字だけ「○」になってました![]()
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私たちがブログに書くときと一緒ね![]()
いやあ~やっぱりイギリスのドラマっておしゃれよねえ~![]()
こういう原作の料理の仕方、なかなか日本ではしないもんね。
まあ、日本では原作を書いた作家が映画などの脚本も書くのはアニメくらいだし、マンガ原作者が実写脚本を書くと日テレみたいなことになるし💢仕方ないのかもなあ。
ドラマ『カササギ殺人事件』はめちゃくちゃおすすめだし、原作を読んでなくても十分面白いんですが、原作を読まずにこの「現実」と「小説」の激しい場面転換についていけるのかは・・・あなた次第です![]()