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なんとなく目覚めた朝はエッセイのような一日の初まりだった。

窓を開けるとどんよりと雲が満ちてる。とても行楽日和とは言えない。まぁ決めたことだからと昨夜準備しておいた山登りのザックを背負い駅に向かう。

駅に着くなり空を見上げ、"降らなきゃいいけど" とつぶやいてみる。電車はいつものゴルフと同じだ。この歳になると大抵のことは同じにしておきたい。めんどくさいからだ。

電車の中はゴルファーとハイカーで混んでる。新緑の季節を感じる。その中にいつもゴルフ場で見かけるおじさんがいる。"おはようございます。今日は山ですか?"、"はい、そちらも良いゲームになるといいですね。" 。たわいもない会話だ。

ゴルフおじさんに軽く会釈して先に下車。山登りの私がゴルファーより先に降りるとは。(苦笑)

多くのハイカーを吐き出した駅舎から見る空は相変わらず鉛色だ。妖怪ポストのようなボックスに登山届けを入れ頂上を目指す。

登り始めてしばらくして思う。あれだけいたハイカーはどこへ行ったのだ。私の前にも後にも、誰ひとり人影はない。どうせ俺が登る山はマイナーなのだ。気にすることでもない。

たまには一人の時間もいい。周りはシーンと静まりかえり鳥の声だけが心地よく響く。どこで鳴いてるのか?と周りを見渡すと、いつの間にかあたり一面真っ白!、雲の中だ。

結局頂上でも眺望を望めず、以降ひたすら尾根歩き。以前 "クマに注意" の看板を見て購入したクマよけの鈴、くまモンの絵入りの可愛いやつだ。おかげで今日もクマには会いそうもない。

ガイドによると全行程11キロ、累積高低差981メートル。4時間歩き通してようやく眼下に街並みが見えてきたその時、藪の中に巨大な生きものが歩いてるのが目に入った。

鹿だ!

25メートルほど先で何かをついばんでる。そしてくまモンの音に気がついて木立の中を眼下の町並みを背景に素早く駆け抜けていった。

一瞬の出来事だった。こんなに町に近いところで鹿を見かけたことに驚き、ふたたび町並みに目をやると雲の切れ間から暑いほどの日差しが降り注いでいた。

下山すると青空に夏の白い雲が浮かんでいた。こんな日もあるのだ。

ゴルフおじさんは楽しいラウンドだったかな?

次はゴルフに行って、ゴルフおじさんに今日の出来事を話そう。


実は鹿に会ったんですよ。



#登山 #ゴルフ#ハワイ