うちの本棚から その3 | Dying★Table

うちの本棚から その3



「こんなにヘンだぞ!『空想科学読本』」
山本弘


「空想科学読本」という本をご存知の方は多いと思います。

特撮・アニメ・映画なんかの一部の設定や場面を科学的に解説し、本当ならどうなってしまうかを解説するという趣旨の本です。
ベストセラーとなりシリーズ化もされているので、読んだことある人は多いです。

その結論のトンデモなさや文章の面白さから、ファンになってしまった人も多いと思います。


で、この「こんなにヘンだぞ!『空想科学読本』」の趣旨は、
「空想科学読本は間違いだらけだ!」
と、なっております。

空想科学読本内の間違いのパターンはだいたい以下のように分類されます。

1. 設定解釈の間違い。
2. 科学的な間違い。
3. 計算間違い。

1はそのまんまです。
実際にはそんな場面じゃなかった、そんな設定じゃなかったのに、勘違いなのか意図的なのか無理やり歪められて論じられています。
もちろん、始まりから歪んでれば正しい結論なんて出るわけありません。

例えば、機動戦士ガンダム第1話。
サイド7に三機のザクが進入してきます。このシーンを見ると、コロニーの外壁の厚さはザクの口から伸びるパイプの直系くらい。パイプの直径は30cmと割り出せるので、サイド7の外壁の厚さは30cm…

そりゃ、スペースコロニーの外壁の厚さが30cmだったら問題だらけだろう。

見たことある人ならわかると思いますが、ザクは外壁の扉を開けて30mほどのエアロックを通過し、そしてその厚さ30cmの扉をくぐってサイド7内に侵入しています。

勝手に話を捏造すんな。

つーか宇宙とそんな扉一枚で繋がってるような構造なら、その扉開けた瞬間どーなるか…


その2。科学的に間違い。そんな結論にはならない。著者の勉強不足。

「レッドキングを投げたウルトラマンは、自分自身が気絶する!」という話。
ここで体重3万5千tのウルトラマンが8000mから落下したらどうなるかを論じています。
落下時の運動エネルギーは27000億Jで空気抵抗でその40%が失われるとする。

そうすると、空気抵抗で失われる11000億Jのエネルギーは熱に変わり、ウルトラマンを焼き尽くす。
鉄ならば12000tが溶けてしまうエネルギーなのだ。

さて、どこがおかしいか分かりましたか?

ちょっと分かりにくいので、表現を変えてみます。

8000mから物体が落下して衝突するときのスピードは、空気抵抗を考えなければ秒速400m。
空気抵抗を考えれば、秒速310mほどです。

やたら早いように見えますが、たかだがマッハ0.9です。

ちなみに、おなじみの超音速旅客機コンコルドの最高速度はマッハ2.0です。

この計算だと、コンコルドは最高速度の約半分程度まで加速しながら50秒ほど飛んだだけで、約六機分が溶けてなくなります

んなアホな…

ここでの基本的な間違いはこの2つ。
熱がすべてウルトラマンに吸収されると思っていること。
熱がウルトラマンに侵入する時間を無視していること。



もうひとつ例を。

ドラえもんのどこでもドアを使って深度1万メートルの深海と接続してドアを開ける。

さて、どうなるでしょう?

ドアを開けた瞬間溢れ出すマッハ29のウォータージェット!

…残念ながら出ません。エネルギー保存の法則に反します。こんなレベルの間違いもあるのです。


3についてもそのまんま。計算間違い。検算はちゃんとしましょう。



自分も空想科学読本にハマって、何冊か読みました。
正直、何かおかしくないかその論理?と思うこともありましたが、ほとんどそのまま信じてしまってました。
実際に売ってる本で、さらにベストセラーですからね。

この本は「空想科学読本を読んで科学に興味を持った人」に一番読んでもらいたい本です。
ただの空想科学読本批判ではなく、本当ならどうなるか、最近の科学ではどのような新しい理論が生まれてきているかなどもあり、面白いです。
超高速、ワープ、タイムトラベルなどが相対性理論の範囲内で可能かどうかにチャレンジしている人も結構いて、実際にどれだけの材料がそろえば可能かも示されてきています。

かなりオススメです。是非読んでください。
ただ、この本も盲目的に信じない方がいいかも。どっか間違ってるかもよ。