仲間のコネのおかげで、ダンプ(相当くたびれている)と
満タンの燃料が手に入った。
ここ山形でも物資とガソリンはかなり不足している。
やっとの思いで探しあてた米の提供先は農村部の雪深い地域。
何度も雪の中で立ち往生、脱出をくり返しながら、
予定より大幅に遅れたものの、物資を集めることができた。
これで仙台に向かうことができる。
牡鹿(石巻市)の人達は、どうしているのだろう?
壊滅的被害との報道以来、情報に接していない。
昨年の暮れ、演奏の仕事で初めて訪れた。
コンサートのスポンサーは東北電力。
原発のある地域の音楽によるクリスマスプレゼント。
海辺に貼り付いたような街。
家のすぐ裏には急な斜面や崖が迫っている。
人気のない通りにやたら街燈が多い。
こういう地域に原発なんだな。キラキラの都会を支えている・・・
リハーサル後、本番までの空き時間
僕は図書室から「牡鹿町史」と題された分厚い本を
だだっ広い楽屋でめくり続けた。
ユーモラスな方言対訳辞書と華やかさの全くない灰色の歴史。
海難事故の悲しい文字がセピア色のページに並んでいる。
「悲しい」だけじゃすまされない事実が
新たに書き加えられてしまったのか。
海風吹く喫煙室で気軽に声をかけてくれた牡鹿の人達は
今頃どうしているのだろう?