1/18(木)Carlos Aguirre Japan Tour 2018

La musica del agua

────大阪天満教会


アルゼンチンにおける静かなる音楽の象徴とも言うべき存在、カルロス・アギーレの6年振りの来日公演。リトラル地方の作曲家の楽曲を中心に取り上げながら、自分の楽曲も織り交ぜ、ピアノやアコースティックギターで弾き語る。


その音は、あまりに優しく、あまりに愛に満ちていた。目を閉じれば浮かんでくる、水辺の風景、静かに空を掠めるように飛んでいく鳥達の影。私達が愛すべき自然の全てを映したような、旋律を超えた祝福の周波数が会場を包み込んでいく。その時間の素晴らしさに、誰もが静かに音を抑えながら涙を流しているのが解った。気付けば公演中、ずっと涙を流していたような気がする。それ程に、あまりに心の奥深くまで染み渡っていく幸せを感じずにはいられない音楽だった。


公演が終わったあと、サイン会に並んでる間、横を通り過ぎようとした主催の吉本さんに、溢れ出る感謝の気持ちを伝えた。あの日は、カルロスだけでなく関わってくれている全ての人に対する感謝を、あまりある思いを何かしら伝えずにはいられなかった。





1/24(水)Isaiah Richardson Jr & Nicolás Junca

Special Session!!!

────京都祇園Baja Bluet


ムッシュ・ペリネという、コロンビアのバンドがいる。ラテングラミー賞まで受賞したことがある超有名なバンドで、私も好きでよく聴いているのだが、ある日Twitterでサーチを掛けていると、どうも片割れのギタリストのニコラス・フンカがムッシュ・ペリネのサポートでサックスを吹いているアイゼイア・リチャードソンJrと来日してて、明日京都のジャズバーにもくるらしいという情報が入ってきた。マジか!!

いても立ってもいられず、そのお店に電話して予約を入れた。


どうも日本のジャズミュージシャンとのセッションツアーらしく、なんか遊びにきたみたいな感じで気の抜けたMCと共に演奏が始まったのだが、ジャズスタンダードを鬼のように速いBPMで、しかもその中であまりにも激しく感情的に吹き荒れるアイゼイアのサックスがあまりにもかっこ良かった。こんな感じで思いっ切り泣きたい日とかあるよね、ってな激情。それを実に冷静に支えるニコラスのスウィングギターも、とても贅沢で上質なものだった。何よりこの対照的なスタイルが、見事に溶け合っている彼らの熟練の呼吸の素晴らしさたるや...最高だった。


わりとお忍びだったからなのかあまり客もおらず、ニコラスと沢山話すことが出来た。ムッシュ・ペリネの音楽は自分の日常的な時間をとても特別なものにしてくれると伝えることが出来てとても嬉しかった。




1/28(日)Julien Baker Japan Tour 2018

────心斎橋CONPASS


アメリカのジュリアン・ベイカーの来日公演。

ライブハウスでの公演だったので、満員の中、立ちっぱなしの状態で彼女の弾き語りを聴くのは流石に少し疲れたが、結果的にはとても素晴らしい内容だった。


彼女の今にも消えていきそうな、それでいて感情的なボーカルは生で聴くと更に迫力を増し、心に深く突き刺さりながら優しく溶けていくようで、涙が止まらなかった。

エフェクトの乗ったエレキギター、キーボードの音どれを取ってもあまりに繊細で、とてもパンクな音楽をルーツに持つ彼女の音とは思えない程だった。来年2019年の2月にはBillboardでの再来日公演が決まっているらしいが、実際落ち着きをまとった空間で彼女の音楽を聴きたい人は非常に多いと思うのだ。ただ、ライブハウスで鳴る彼女の音はむしろ楽曲の世界観をよりリアルに映し出す気がして、待ち焦がれた生音として最高のものを聴かせてもらったつもりだ。

ちなみにあんな音楽をやっていながらサイン会での彼女はとても明るく優しかった。




3/27(火)My Bubba Japan Tour 2018

────旧グッゲンハイム邸


神戸の中心街から離れ、須磨などを抜けた先の塩屋という静かな海辺。国道と線路を跨いで佇む旧グッゲンハイム邸での演奏という最高のシチュエーション。


My Bubbaの音楽は北欧のフォークソングの素のままの感覚といった印象で、心に響くというよりは場に浸透し、さり気ない。休日の午後のような落ち着いた時間。誰もが何気ない優しさを持ち寄れるようになれる感覚。彼女達の音楽特有のその「雰囲気」がグッゲンハイム邸を包み、とても心地良い時間が流れた。


なんと会場には先日のカルロス・アギーレ大阪公演での主催をしてくれていた吉本さんとミカさんもいらしていて、会場や帰りの駅で少し喋ることが出来た。My Bubbaとカルロスなんてとても優しさ溢れる音楽の好みで繋がれるなんて、なんて素敵なお話なんでしょう☺️




4/15(日)Cicada Japan Tour 2018

────大阪天満教会


カルロス・アギーレ公演と同じく天満教会での公演で吉本さんらresonance music主催。


Cicadaは殆ど聴いたことがなく、最新アルバムを買って少し予習してから行ったのだが、距離が近いながら壮大な室内楽といった印象で素晴らしかった。それでいて、生演奏という空間では例えばイルカと一緒に泳いで波飛沫を共に浴びているかのようなとか、真冬の空に現れるオーロラを極寒の中空を見上げてじっと待っている時とか、普段そうない体験をまるでその場でしているような感覚を肌が感じているようだった。


ただただ美しい音楽、その音と音の間を流れる時間は、まるでショパンの延長にあるような静謐さを秘めているとも言える。ピアノ、アコースティックギター、チェロ、ヴィオラ、ヴァイオリンの少数ながら豪華なアンサンブルで繰り広げられる、掛け替えのない"体験"の時間だった。