#110 舵を取る 5 | 心の赴くままに

心の赴くままに

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では、前回の投稿で失敗の原因の3つの次元が

 

・原因を自分でコントロールできない

(自分にはどうする事もできない)と捉え

 

・原因は変動しないもの

(自分の能力不足)と捉え

 

・原因は自分の外側にある
(そうなったのも環境や周囲のせいだ)と捉える
 
そういった視点の人にとって
失敗事態をうまく切り抜ける事が出来るようになる為には
どういったアプローチが有効なのでしょうか。
 
前出の「無気力の心理学」では
興味深い実験結果が示されていました。
 
<八歳から十三歳の極端に強い無力感をもっている子ども
十二名が被験者に選ばれた。彼らは、失敗に出会うと、
それ以後、ガタッとやる気をなくす子どもとして
学校内でも有名であった。そして、(中略)失敗を
自分の能力のせいにする傾向が非常に強かった。>(P44)
 
実験者は2つの方法を用いて、彼らの視点を
変える試みをしています。
 
1つ目は、成功体験が増せば自信がつくという考え方に基づいて
全て、成功体験のみで学習が進められる方法
 
2つ目は、こちらも大半は能力の範囲内で成功しうる
低い基準を与えるのですが、約5回に1回の割合で
提示された目標を達成できないとう「失敗」経験を与え、
失敗した時に「もっと一生懸命やれば、出来たはずである」
ことを告げる方法です。
 
すると後者の教育を受けた生徒は
<失敗に出会っても、それ以後、ガタンと成績が下がるという
子どもは一人もいなかった。そればかりか、多くの子どもが、
失敗のあと成績が上昇した。
 
(中略)これに対して、成功体験のみを与えられた子どもでは、
中間テストでも事後テストでも、何の改善もみられなかった。
失敗に出会うとガタッとくずれ、今までの力が
出せなくなる傾向はそのままだった。>(P46)とあります。
 
ここでとても興味深かったのは
「成功体験」だけでは「自己効力感」を育むことができず
 
むしろ失敗して、それを自分の力で乗り越えた時に初めて
「自己効力感」を持つことができるという所です。
 
失敗のあとに成績が上昇したのも、
「自分もやれば出来る」という体験を繰り返した事で
失敗を克服したいという意欲が沸いたことの
表れではないでしょうか。
 
「失敗」を繰り返す事で、「失敗」に対して免疫がつき
「失敗」を乗り越える経験を繰り返す事で
<失敗を克服可能なものとみ、粘り強く取り組む傾向>(P46)に
繋がるのではないでしょうか。
 
#108にも書いた様に、自分の働きかけによって
結果を変えられたという手応えを経験する事が
私たちにとって、如何に大切であるかという事が
この実験によって示されているのではないでしょうか。