「ただいまー」


あれ?電気消えてる。


そう思いながら施錠して家の中に入ってリビングに続く扉を開けると突然電気が点いて友梨奈がおばけの被り物をして突っ立っていてビクッとした。


「もう、友梨奈!驚かせないでよー...」

「Trick or Treat !」

「はい?」

「Trick or Treat !」

「お菓子ね。はい」


ちょうど今日会社でお菓子を貰っていたのでバッグの中からお菓子を出して友梨奈に差し出すと、ぱーんっと弾かれてお菓子が床に叩きつけられた。


「違う!」

「友梨奈ー。お菓子あげたのに」

「Trick or Treat!!」

「だからお菓子あげたでしょ」


床に落ちたお菓子を拾い、バッグを置いてソファーに座ると、友梨奈は被り物を雑に脱いで怒って私を見て隣に座って腕に抱きついてきた。


「なに拗ねてるの?」

「理佐がお菓子くれないからっ」

「だからあげたでしょって」

「違うのっ」

「なに」


クスクス笑いながら金髪の髪を撫でると急にソファーに押し倒されて唇にキスをされた。


「お菓子をくれないと悪戯しちゃうぞ」


お菓子ってなにあげればいいのかな?


押し倒されたまま頭の中で思案するがピンとこない。


...あ、ケーキかな?


「明日買ってきてあげるから待ってて」

「理佐の鈍感!」


友梨奈は怒って私から離れると被り物を蹴って寝室に向かってしまった。


何で怒っているのか分からずに、とりあえずお風呂に入ろうとバッグを持って寝室に行くとベッドにこんもりと山が出来ている。


いじけてる。


溜め息を溢してバッグを置き、コートを脱いでハンガーに掛け、着替えを持って脱衣所に向かった。


服を脱いで洗濯機の中に入れ、着替えを台の上に置き、浴室内に入るとどすどすと歩く音が聞こえ、裸になった友梨奈が浴室の扉を開けて中へ入ってきた。


「怒ってたんじゃなかったの?」

「理佐のばかっ」


やっぱり怒ってるじゃない。


でもお風呂には一緒に入るんだ。


「髪洗って!」

「はいはい」

「はいは一回!」


甘えて、怒って、って忙しいなぁ。


友梨奈の気持ちが分からないまま髪を洗ってあげた。








ーーーーーー

全身を洗った後、湯船に浸かって友梨奈を見た。


眉間に眉を寄せて不貞腐れてる。


「...ねぇ友梨奈、なんで怒ってるの...?」

「理佐が鈍感だからっ」

「教えて?なにが欲しいの?」

「〜っ!理佐のばか!」


友梨奈はまた怒って浴室から出て行ってしまった。


...なんなんだろう。怒っている理由が全く分からない。


クソガキめ。


後でお菓子ぶつけてやろう。


湯船から出て浴室を出ると身体を拭いて服を着て、スキンケアをすると髪を乾かす。


髪が乾くとドライヤーを持ってリビングに行く。


案の定くしゃくしゃな髪のままソファーに寄りかかって友梨奈はうつらうつらとしていた。


可愛いクソガキだ。


クスッと笑うと近寄って声をかける。


「友梨奈、床に座って」

「理佐の...」

「はいはい。ほら、床に座って」

「うーん...」


だるそうに床に座った友梨奈の間に座って、ドライヤーで緩いパーマがかかっているかの様な友梨奈の髪を手櫛で優しく梳きながら温風を当てて乾かし終わるとドライヤーを片付けに行き、戻るとソファーに腕を置いて眠っている友梨奈に微笑んで髪を撫でてよいしょっと言いながら抱き上げ、寝室に向かってベッドに寝かせた。


リモコンで電気を消して私もベッドに寝そべるといきなり胸を鷲掴みされて目を見開く。


「友梨奈...?」

「理佐って本当鈍感...お菓子は理佐」

「友梨奈...起きてるの?」


急に腰に跨られて首筋にキスをされてビクッとした。


「理佐をくれないと悪戯しちゃうぞ」

「っ、そういう意味だったの。このエロガキッ」

「んふふっ」


暗がりから慣れてきた目で友梨奈を見上げると舌舐めずりして微笑んでいた。

















結局、悪戯という名のエッチなことをされた私だった。









「Trick or Treat !!」






























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遅くなったハロウィン企画でした。

短くてすみません。

お読み下さりありがとうございました。