無事に帝王切開で生まれてきた理奈と友理は双子用のベビーベッドで寝ていて、すやすやと寝息を立てている。
友梨奈は術後の経過も良く、ソファーに横になって私が友梨佐にご飯食べさせているのを微笑んで見つめていた。
「まんまー」
「友梨佐、あーん」
「あー、んっ」
小さくサイコロ状に切った人参と息を吹きかけて冷ましたシチューを友梨佐が口を開けて待っていたので食べさせる。
「美味しいねー」
「んー」
「友梨佐ぁ〜これはー?」
グリンピース入りのコンソメスープを口に近付けるとぷいっと顔を逸らし、食べるのを拒否する。
「あー、友梨佐、好き嫌いはママ悲しいなぁ〜」
えーんと泣くふりをして嘘泣きして見せると友梨佐は私の顔を覗き込んできて、私は更にえーんと嘘泣きした。
「まんまー?」
「友梨佐がママの作ったスープ飲んでくれないよ〜」
「...あー、んっ」
チラッと友梨佐を見つめるとぐーの手でスープをスプーンで飲もうとしてる友梨佐に心の中で頑張れ〜と思いながら嘘泣きしたまま見守る。
「ん〜」
飲んだよー?と言わんばかりにまた私の顔を覗き込む友梨佐にぱっと嘘泣きを止めてにっこり微笑んで頭を撫でた。
「友梨佐飲んだの?良い子〜」
頬にキスをすると嬉しそうに笑う友梨佐に癒されてもう一度キスをする。
「友梨奈ママはね、お豆さん食べないんだよ〜?」
「理佐ー」
「ふふっ。だって友梨奈まだ食べないじゃんー」
「そうだけど...」
口を尖らせる友梨奈の側に寄ると髪を撫でる。
「お腹大丈夫?」
「うん。もう大丈夫」
と、目を離している隙に友梨佐がスープを飲もうとして溢してしまい、慌てて友梨佐に駆け寄った。
「まんま...っ」
「泣かなくていいの。お着替えしようね?」
優しく微笑んで服を脱がすと新しい服を寝室から持ってきて着替えさせる。
「友梨佐、もうご飯ないないする?」
尋ねるとこくこくと頷く友梨佐を膝に乗せ抱きしめて髪を撫でた。
「よく食べました」
「ん〜まんま〜」
お腹がいっぱいになって眠くなってきたのか抱きついて顔をすりすりさせる友梨佐を優しく抱きしめて背中をぽんぽんと叩くとしばらくして寝息を立て始める。
友梨佐の寝顔が友梨奈そっくりでふふっと微笑んで頬に口付ける。
「理佐、友梨佐こっちに連れてきて」
「うん」
抱っこをして友梨奈の横に友梨佐を連れて寝かせると友梨奈はそっと抱きしめて幸せそうにはにかむ。
友梨奈と私は緑のダイヤの指輪、子供達には緑のダイヤが入ったベビーリングのネックレスがつけられている。ベビーリングの意味は(元気で幸せでありますように)という意味が込められている。
「友梨佐はやっぱり友梨奈ママ似」
「そうかなぁ」
「笑った顔とか似てるよ?」
私は寝室からタオルケットを持ってきて友梨奈達にかけ、濡れた床を拭いて食器類を片付け洗う。
「理佐ありがとう」
「ううん、これくらい良いの。友梨奈も寝ていいよ」
「うん」
友梨佐を抱いて目を閉じる友梨奈に微笑んで、汚れた服とタオルを洗濯機の中に入れて寝室にまた入るとノートパソコンとノートをテーブルに置いて仕事を始めた。
静かで幸せな空間の中はとても心地が良い。
キーボードを打つ音だけがして子供達はぐずりもせず眠っているのに自然と微笑む。
仕事も捗り、服のデザインを考えながらコーヒーを入れてまたパソコンに向かう。
今度の依頼は真っ赤な衣装のデザインで、アイデアが浮かんできてノートにすらすらと描いていく。
色んな形の衣装を描いていき、スキャナーで読み込みメモリースティックに取り込む。
それをパソコンに挿してペンタブレットで色を塗っていく。
一息ついたところでコーヒーを飲み、鳥の囀りを聞いていると背後から抱きしめられて振り返る。
「理佐...」
「んー?目覚めちゃった?」
「うん」
友梨奈は私の太腿に頭を乗せて、私は髪を撫でながら友梨奈を見下ろして頬にキスをした。
「仕事?」
「うん。でももう終わったよ」
「理佐...幸せ?」
「すっごく幸せ」
「良かった...」
「友梨奈は?」
「私も幸せ」
二人して微笑んでいると友理がか細い声で泣き始めて友梨奈は起き上がり、ベッドから友理を抱き上げてソファーに座って授乳をさせる。
と、今度は理奈が泣き始めておむつかな、と思いボタンを外しておむつに触れると案の定おむつが湿っていて、お尻拭きで綺麗にしてあげて側に置いてあるおむつを取って新しいのに替えると泣き止んだ。
外したボタンを留めて直し、抱き上げて優しく身体を揺らしてあやす。
顔を引っ掻かないように小さな手袋を着けている理奈は小さな欠伸をしてまた眠りにつく。
微笑んでそっとベッドに寝かせ、布団を掛ける。
「理奈、良い子...」
頬に口付けて友梨奈に近寄ると友理も満足したのか眠る友理をベッドに寝かせて、友梨奈はソファーで眠っている友梨佐を抱きしめた。
私はパソコンを片付けて冷たくなったコーヒーを飲む。
「子育てって大変だね」
「うん。でも幸せだよ?」
「うん、そうだね」
「明後日また友梨佐職場に連れてくね」
「いつもありがとう」
「友梨奈もありがとう。理奈と友理よろしくね」
「うん」
私はソファーに向かい、友梨奈に覆い被さって抱きしめ合い唇を重ねて微笑み合った。
一度切れてしまった赤い糸は、また括ればいい。
そうやって幸せに生きていこう。
喧嘩もすると思うけど、仲良く、みんな幸せに。
END
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リクエストして下さった方、また名前を考えて下さった方、ありがとうございます。
ここまでお読み下さり、ありがとうございました。