友梨奈ちゃんは金髪設定で。


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私には密かに恋をしているお姉さんがいる。


本屋さんの店員さん。


いつも参考書を持ってチラッとお姉さんを見つめる。


「あのーすいません...この本ってあります?」


「あ、この本でしたらこちらにありますよ」


嫌な顔一つせずににっこり微笑んで対応するお姉さんに私はいつもドキドキしてる。


「天ちゃん」


不意に声をかけられて振り向くとお姉さんがにこにこしながら近寄ってきた。


「また参考書?」


「は、はい...っ」


「真面目だねー」


「あ、あのっ、」


お姉さんの下の名前が知りたくて声を上げると「あー夏鈴ちゃんっ」と言葉を遮られ、夏鈴という女の子を見つめる。


頭を撫でられていて思わず嫉妬した。


「渡邉さん、予約していた本取りに来たんですけど」


「あ、あの本ね」


夏鈴という女の子はレジに向かう途中、私を見てお姉さんの後をついて行く。


用事を済ませた夏鈴さんに「また来てねー」と手を振るお姉さんに夏鈴さんは頭を下げてお店を出て行った。


入荷した本を出して並べていくお姉さんを私は参考書を読むふりをしてチラチラと見つめる。


いつ見ても綺麗なお姉さんだなぁ。


見惚れていると私の視線に気付いたのか、不意に私を見つめるお姉さんに慌てて参考書に目を向けた。


違う参考書を手に取って本を見つめ、また別の参考書を手に取る。


仕事を一生懸命する姿に惚れ惚れして思わず参考書で顔を隠して頬を赤くした。


お姉さんの下の名前が知りたい。


でも勇気が出ずに別の参考書を手に取ってはお姉さんを横目で見つめる。


徐々にお姉さんとの距離を縮めて行くと意を決して参考書を持ってお姉さん!と名前を呼ぶ。


「天ちゃん決まった?」


「は、はい!」


お姉さんはにっこり微笑んでレジに行くと私は本を置いて紙のカバーを丁寧に付けるお姉さんをじっと見つめていた。


綺麗な指...


「じゃあ1200円になります」


慌てて財布を鞄から出すとお金を出して、支払いを済ませ、本が入った袋を受け取って鞄に入れる。


勇気を出して!私!


「お、お姉ちゃん!」


「お姉ちゃん?」


キョトンとしてるお姉さんに思わずちゃん付けしてしまった。


「い、いえ、あの...っ、お姉さん!」


「ん?どうしたの?」


優しく微笑むお姉さんにしどろもどろになりながらも拳をぎゅっと握った時だった。


店内にお客さんが入ってきて「いらっしゃいま、」お姉さんがウィンドウを見て嬉しそうに駆け寄る姿を見ると、フードを被って首にチョーカーを着けた金髪の人が、優しくお姉さんの頭を撫でて微笑む姿に唖然とした。


「理佐、今日何時に帰ってくる?」


「あと少しで終わりだよ」


「じゃあ待ってる」


りさ...?


この人、男の人?女の人?


お姉さんはその人に、私には見せない笑顔で見つめてた。


お姉さんは私のものなのに!


ふつふつと嫉妬の嵐が湧き出てくる。


「あ、あの!!」


お姉さんとその人は私を見て目をぱちくりさせている。


私はその人に指をさし、


「せ、宣戦布告です!!」


私の声が店内に響き渡る。


「...は?」


「...ふふっ。友梨奈、宣戦布告されちゃったね」


クスクスと笑うお姉さんにその人はキョトン顔で私を見つめていた。


「え...私...?」


「ぇ...女の人...?」


その人は自分を指さしてびっくりした顔を浮かべている。


「天ちゃん、この人私の彼女」


「...ぇ...?」


「っていうことで宣戦布告は無し。ね?」


ふふっと笑ったお姉さんにがっくりと肩を落とした。


まさか女の人...彼女...ん?待てよ?彼女?


お姉さんも女の人なのに...?


「や、やっぱりっ、宣戦布告です!!」


「え、めんどくさい」


「天ちゃん、宣戦布告してもごめんね。私は友梨奈が好きなの」


お姉さんまで...。


「...分かりました...」


またがっくりとして重い足取りでその人とお姉さんの横を通り過ぎた時、「天ちゃんまた来てねー」と言われ、


「はい...でもっ、お姉さんのことっ、諦めませんから!!」


お姉さん達に言い放って走って店内を飛び出した。


「なにあれ?」


「ふふっ。友梨奈、負けないでね?」


「...めんどくさいの嫌」


溜め息を溢して店の外を見つめる。

















お姉さんを振り向かせるのは私だから!!





















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リクエストしてくださった方、遅くなってしまい申し訳ありません!気に入ってくれると幸いです。

お読み下さりありがとうございました。