沈む様に溶けていく様に。の少女編です。
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「友梨奈ーーーー!!」
棍棒を持って片手に汚れた人形を抱え上げて泣きじゃくっている友梨奈に駆け寄った。
私の声に反応した友梨奈は目にいっぱい涙を溜めて顔を上げる。
「取り返してきたよ!」
「っ...ふえ...っ」
砂だらけの人形を見てまた泣き出す友梨奈に人形の砂を払って綺麗にしてあげて「んっ」と差し出した。
すると友梨奈は袖で涙を拭きようやく泣くのを止めて私の手から人形を受け取り、ぎゅっと抱き締める。
「理佐、ありがとう...」
「うんっ、友梨奈、にーは?」
そう言うと友梨奈は嬉しそうに涙目でにーっとはにかんだ。
「友梨奈、もう泣かないの。分かった?」
「うん...でもまたとられちゃったら...」
「その時は私に言うの。また取り返してきてあげるから。ちゃんと言える?」
「うん...理佐...ありがとう」
友梨奈は微笑んで汚れた私の頬にちゅっと口付けをしてきた。
私は満足そうに微笑んで友梨奈を抱き締めた。
「いい子いい子」
髪を撫でて友梨奈の顔を覗き込むと唇を重ねる。
「...理佐、好き」
「私も」
「友梨奈、理佐ちゃんご飯よー」
「はーい。理佐、行こう?」
「うんっ」
お父さんの形見の棍棒を持ち直し、友梨奈と手を繋いで友梨奈の家に向かった。
数年後...
私は18歳になり、友梨奈は16歳になった。
「理佐」
「うん?」
馬小屋の中で勉強をすっぽかして藁に寝そべり寄り添っていた。
「理佐はどうしてズボンなの」
「友梨奈に悪い虫がつかないように」
「つく訳ないじゃん」
そう言って私の首筋に顔を寄せる友梨奈を抱き締める。
顔を上げた友梨奈の唇に口付けた。
「理佐...好き」
「私も」
「男は嫌い...」
「うん、野蛮人だもん」
ぎゅっと強く友梨奈を抱き締めて髪を撫でる。
「柔らかい肌...綺麗な黒髪...」
おもむろに友梨奈の胸に触れた。
「理佐...」
むにゅっとした感触が堪らない。
だけどそれは友梨奈だから。誰かには代われない。
口付けを交わしながら友梨奈の服を脱がして心衣を解く。
私達は肌と肌を重ねた。
「そうだ、友梨奈町に行こっか」
「うんっ」
二人でぶらぶらと町を歩いて、友梨奈に似合う髪飾りを買ってあげた。
友梨奈は嬉しそうに微笑んで私はそれだけで幸せだった。
「陛下のお通りーーーー」
私達や村人は道のすみに寄って頭を下げた。
神輿に乗った陛下達が通り過ぎるの待っていると急に神輿が止まって心臓が止まりそうになった。
「そこの髪飾りを着けた女、面を上げよ」
「っ...はい」
「名をなんと言う」
「...友梨奈と申します」
「誰ぞ、友梨奈をこちらに乗せよ」
「っ、」
「こちらへ」
役人が手を繋いでいた手を離し、友梨奈は私の方を何度も振り返り神輿に乗せられてしまった。
友梨奈...!!
陛下の膝の上に座った友梨奈を切なく見つめる事しか出来なかった。
それから友梨奈の家には陛下からの貢ぎ物が沢山来て私は歯を食いしばった。
友梨奈がいない生活なんて考えられない。
私は軍に所属しようと心に誓った。
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短くてすみません。
お読み下さりありがとうございました。