理佐side
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「ふ、えっ、え」
「友梨奈、泣き過ぎ...」
一時間目をすっぽかして屋上の日陰で友梨奈の肩を抱いてあやしていた。
「り、さっ、んっ、理佐っ」
ぎゅっと抱きついて首に擦り寄る友梨奈の背中を優しく叩く。
罪悪感でいっぱいで友梨奈には可哀想な事をした。
「...友梨奈、怖かった?」
するとこくこく頷く彼女。
そりゃあそうだよね。
離れていく友達っていうのを経験してるんだから。
しばらく抱き締めていると友梨奈は段々と落ち着いてきたみたいで、鼻をすんすん鳴らして身体を離した。
「...落ち着いた...?」
「...ん...」
「...あーあ、目が真っ赤。って、私のせいか」
擦ろうとする友梨奈の手を慌てて掴む。
「だめ。擦ったら更に赤くなるから」
「...ん......ねぇ理佐...」
「ん...?」
「...昨日、どうして...あんな事言ったの...?」
「...嫉妬かな。友梨奈から離れていったのによく電話してきたなって、その相手にムカついて。友梨奈にも...」
「...ごめん」
「友梨奈は悪くない。私の心が狭いだけ」
「理佐の心は狭くないよ」
「ううん。狭いよ。友梨奈の事誰にも取られたくないし、本当は離れていった友達とも話して欲しくない。...ね?狭いでしょう?」
「狭くない」
友梨奈は私の脚を跨いで座るとぎゅっと抱きついてきて呟いた。
「...嬉しいよ、理佐...」
「...嬉しいの?」
「うん...だってそこまで私の事思ってくれてる証拠だもん」
「...友梨奈...」
友梨奈は身体を離し、私の目の前に影ができると友梨奈の方からキスをしてきた。
私は一瞬目を丸くするがすぐに目を細め、後頭部に指を差し込んで何度も何度も唇を啄む。
ゆっくり唇を離すと額をつけ合って二人で微笑んだ。
「理佐、好き」
「私も。大好き」
二人してぎゅっと抱き合い、幸せだと感じた。
「...二人して補習だね」
「仕方ないよ。友梨奈号泣だったし」
「理佐が泣かせたのに」
「ごめんね?」
「ふふっ。もういいよ」
擦り寄って抱きついてくる友梨奈の腰に腕を回して抱いた。
「友梨奈」
「?」
私が唇を突き出すとふふっと笑い、頬に手を当てられちゅっと音を立てて口付けられた。
離れかけた唇を追いかけまた唇を重ねる。
そんな事をしながら愛を育んだ。
二時間目から私達は教室へと戻って席に座った。
こばは振り返って微笑んでいた。
「その調子だと上手くいったみたいだね」
「うん。こばありがとね」
「ありがとう、こば」
「何にもしてないよ私」
ふふっと笑うこばに私達も笑った。
「てち、私にしとく?」
「へ?」
「ちょっと、こば。友梨奈は私のっ」
その言葉にこばはニヤッとする。
「良かったね、てち」
はめられた...。
「今度てち泣かせたら私がもらうから」
「泣かせないし、こばにはあげない」
「ちょ、ちょっと二人とも」
友梨奈の声にハッとすると周りの視線がこっちに集中していた。
恥ずかしさで猫背になって真っ赤になってる友梨奈。
クラス中の視線が逸れると友梨奈にごめんと呟く。
「理佐とこばのばか」
「言うようになったね、てち」
「本当」
私とこばがクスクス笑っていると友梨奈もつられて恥ずかしそうに微笑み、目を伏せた。
午前中の授業も終わり、私達はお弁当を持っていつもの場所に行く。
「今日もいい天気だねー」
「そうだねー」
「ふふっ。二人ともおばあちゃんみたい」
「あー友梨奈言ったなー」
私とこばで友梨奈を揉みくちゃにすると友梨奈が楽しげに笑う。
「このくらいにしといてあげる」
倒れた友梨奈を起こして日陰でお弁当を広げ、みんなでたわいもない話をした。
すると友梨奈の携帯が鳴って友梨奈は画面を見ると電話には出ずにご飯を食べた。
「...友梨奈...?出てもいいんだよ?」
「ううん、いいの」
気にしてるのかな。
こばは私達をチラッと見つめる。
「...友梨奈、私もう嫉妬しないよ?」
お弁当を見つめて食べる友梨奈に声をかけた。
「いいの。本当に。私には大事な友達がもういるから」
ふんわり微笑む友梨奈に目頭が熱くなって気が付いたら頬に涙が伝ってた。
それに気が付いた友梨奈は、
「理佐とこばがいるから」
と、呟くからまた涙が溢れた。
泣きながらお弁当を食べ終わると、友梨奈は近寄って抱き締めてくれた。
私の醜い嫉妬さえも包み込んでくれた友梨奈を私も抱きついて擦り寄った。
「私もー」
と、こばも私と友梨奈ごと抱き締めてきて、泣き笑った。
「ありがとう、理佐、こば」
友梨奈の笑顔を見て幸せに思えた日だった。
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