友梨奈side
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ご飯が炊けた音がして理佐はキッチンに向かった。
私はTVを消して理佐に駆け寄って背後から抱きついた。
「友梨奈、どうしたの」
「理佐にくっついていたい」
「...食べちゃうよ本当に」
「理佐ならいいよ」
理佐は、はあー...と声を漏らして私の手を解いて向かい合わせになるとぎゅっと抱き締めてきた。
頬にキスをされて唇にもキスをされた。
角度をゆっくり変えながら理佐はリップ音を立てて何度も私の唇を貪った。
「んふ...っ」
甘ったるい声を漏らしながら私は必死に理佐の口付けを受け止める。
理佐のTシャツを握りしめ、唇を薄く開くと理佐は舌を差し込んできた。
粘着音がしただけで一気に熱が顔に集中する。
立っていられなくてずるずるとしゃがみ込むと理佐も一緒になって座った。
舌を吸われ甘く噛まれ、顔が離されるとお互いの間に銀の糸ができ、プツッと切れた。
「...本当、無自覚」
「へ...?」
「友梨奈は無自覚って言ってるの」
「...わかんない」
「えっちな事しちゃいたいのに」
「えっち...?」
ぎゅっと抱き締められて理佐はまた息を吐いた。
「もう、なんでそんなに可愛いの」
「かわいく...っ」
「ふふっ。学習したね。...ご飯作ろうと思ってたのに」
「理佐ごめん」
「本当だよ。なに作ろうか考えてたのに忘れちゃった」
「おにぎりが食べたい。梅干し入りの」
「じゃあ梅干し入りのおにぎりとお豆腐のお味噌汁と、」
「それだけでいい」
「栄養偏っちゃうよそれじゃ」
「今日くらい良いよ」
「そう?...じゃあそうしよう」
立ち上がって理佐は手を差し伸ばしてきたからその手を握って私も立ち上がる。
そういえばお弁当箱がそのままな事に気付いて寝室に置いてあるバッグからお弁当箱を出し、理佐のバッグからもお弁当箱を取り出してキッチンに向かった。
「あ、友梨奈ありがとう」
「うん」
袋から出して私はお弁当箱を洗って水切り場に置いていく。
「理佐袋洗濯機?」
「うん」
「分かった。回す?」
「お願い〜」
洗濯機に袋を入れると洗剤と柔軟剤を入れてボタンを押した。
「回してきたよ」
「ありがとう」
お湯が沸騰するまで理佐は炊きたてのご飯に種を取った梅干しを入れて握っていた。
「友梨奈ごめん。棚から海苔出して」
「海苔?海苔〜」
棚を漁って海苔を見つけるとジップロックを開けた。
「何枚?」
「友梨奈おにぎり何個食べる?」
「一個」
「じゃあ一枚で良いよ」
「うん」
一枚取り出してジップロックを閉じて元の場所に戻すとシンクの上で海苔を半分に折って切った。
それを理佐に渡すとおにぎりに巻いていってお皿に乗せた。
私は理佐の背中にくっついて肩に顎を乗せたり覗きこんだりしていると理佐がクスクスと笑った。
「友梨奈のひっつき虫」
「んふふ」
「こばにはしちゃだめだから」
「なんで」
「友梨奈は私のなの」
理佐の言葉に顔を赤くさせてぐりぐりと背中に額を擦り付けた。
理佐の顔は見えなかったけどきっと微笑んでいるだろうなぁ。
「よし、おにぎり出来たよ」
「じゃあテーブルに置いておくね」
二人分の乗ったおにぎりをテーブルに置くと理佐はお味噌汁を作り始めた。
私は理佐にまたひっつき手元を眺めた。
理佐は器用に手のひらで豆腐を切って鍋にそっと入れた。
「友梨奈もう出来るから座ってて」
「ん」
言われた通りに定位置に座るとサイダーを飲んだ。
「はい、どうぞ」
「ありがとう理佐」
「はーい」
箸も渡されて受け取り、お味噌汁から飲んだ。
「あっち」
「ふふっ。友梨奈ふーふーして」
息を吹きかけてゆっくりとお味噌汁を飲んだ。
「ん!美味しい」
「本当?」
「美味しいよ本当」
お味噌汁を置いておにぎりを取ると両手で食べる。
「んー美味しいー」
「良かった」
理佐と微笑み合ってご飯を食べた。
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短くてすみません。
お読み下さりありがとうございました。