友梨奈side
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理佐と仲良く話しながら学校への道のりを歩いていた。
後ろから男性の乗った自転車がチリンッと鳴らしてきたのに理佐は気付いて私を引き寄せる。
自転車は私達の横を通り過ぎて行った。

「理佐ありがとう」
「良いよこれくらいでお礼なんて」

ふふっと笑って理佐は私を見つめる。
優しく微笑む理佐に私もつられて微笑んだ。
坂道を上って行くと少ししてから学校が見えてきた。校門の前でこばが立っていた。
こばは私達に気がつくと手を大きく振る。
理佐と一緒に駆け寄るとこばは私を抱き締めた。

「てち〜大丈夫だった?」
「っ...こば...大丈夫」
「ちょっとこば、友梨奈は私の」
「ちょっとくらいいいじゃん。ね、てち」
「...うん」
「あ、友梨奈まで!」

こばが一度ぎゅっと抱き締めて身体を離すと理佐はムーッとした顔をして私を見つめる。

「理佐、怒らないで?」
「怒ってない」

私は理佐の手をぎゅっと強く握り見つめ返した。
それに気付いた理佐は途端ににっこり微笑んでくれた。

「学校行こっか」
「うん」

するとこばまで私の空いてる手を握る。

「こばっ」
「理佐だけずるいから」
「っ...」

私は恥ずかしくて俯くが嬉しくてにやける顔を堪えて三人で校門を通って玄関口に着くと二人の手を離して上履きに履き替える。

「あーそうだった!私上履き家だった」
「...え、あの時?」
「うん、スリッパ借りよ」

あの時って私が家にいた時だよね。
なんだか理佐に申し訳なくなって「理佐...ごめん」と呟くと、「気にしないの」と頭を撫でられた。
理佐は先に教室こばと行ってて、と言って職員室に向かって行った。

「てち、行こう?」
「...うん」

理佐に悪い事しちゃったな。なんて思いながらこばと一緒に教室へと向かった。
教室に入るとまだ好奇の視線が注がれて、萎縮しながら席に座った。

「てち、気にしなくていいよ。私と理佐がいるから」
「こば...ありがとう」

前に座っていた男子が「喋れてるじゃん」と言ってきて言葉に詰まっているとこばがその男子の頭を叩いたのに目を丸くした。

「うっさい、バカ男子」
「いって〜」

こばは私の方を振り向いてにっこり微笑んでくれた。

「お待たせ〜」

スリッパを履いた理佐が私の隣の席に座った。

「菅井せんせーが二人とも風邪大丈夫?って聞いてきた。こば言ってくれたの?」
「うん。てちもね」
「ありがとう、こば」
「親友の為だもん」
「っ...」

私が信じてた親友は声を出せなかった私を見捨てた。
やばい。泣きそう。
上を仰いで涙を堪える。
だけど頬に涙が伝った。

「友梨奈?大丈夫?」
「...うん」

涙を拭うと理佐とこばが髪を撫でてくれた。
二人の優しさに嬉しくなってはにかむ。
やがて菅井先生がやってきて点呼を取り始めた。










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短くてすみません。
お読み下さりありがとうございました。