私の彼女はイケメンだ。
女の子だけど髪はショートだし誰とでも分け隔てなく話す。
そこが焼きもちを妬いちゃう原因だけど。
今日も上履きの中にはラブレターがいっぱい。
てちは溜め息を吐いてしゃがみ込み無造作にバッグの中へと入れた。
私も手伝って入れるとてちは「ありがとう、ねる」と言って微笑んでくれた。
それだけで嬉しくてつられて微笑んだ。
教室に一緒に行き、最後尾の席に並んで座る。
「明日休みだからねるの家泊まりに行ってもいい?」
「うん、良いよー」
私のマンションにてちはよく泊まりに来るから、てちの服とか既にあっていつでも来れる。
明日も一緒に居られるなんて私ってば幸せだ。
一人はにかんでいるとてちが見つめてきた。
「ねる?」
「っ...ん?」
「どうしたの?」
「何にもないよ」
「変なの」
ふふっと笑うてちにはにかんだ。
可愛いなぁ。すっごく好き。
先生が来るまで私達はずっと仲良く話していた。
やがて担任の澤部先生が入って来ると点呼を取った。
午前中の授業が終わり、お昼ご飯を教室でてちと一緒に食べる。
たわいない話をして過ごした。
お昼休憩はあっという間に過ぎてしまい、お弁当箱をバッグの中にしまい午後の授業の支度をする。
午後の授業もやっと終わり、放課後てちはバッグを持って何処かに行ってしまった。
「どこ行っちゃったのかなぁ」
気になって私もバッグを持っててちを探した。
もしかして焼却炉...?
上履きから靴に履き替えると体育館裏の焼却炉へと向かうと誰かが誰かを抱き締めていた。
てちだった。
相手は隣のクラスの田村さんで思わずショックでその場から立ち去った。
私は戸惑い、そのまま家へと帰った。
なんで抱き合ってるの。
頭の中で悔しさと悲しさが入り混じって泣きそうになりながら、自宅へと着くと鍵を開けて中に入った。
バッグを寝室に置いてお弁当箱をシンクに持って行き、涙を零しながら洗っていると玄関のドアが開いた音がした。
「ねる、なんで先帰っちゃったの」
走って来たんだろうな。
てちは息を切らしながら呟いて寝室にバッグを置きに行ってお弁当箱を持って近寄ってきた。
「ねる...!?なんで泣いてるの?」
異変に気付いたてちは顔を覗き込んできた。
「大丈夫...大した事じゃないから」
「ねる...はっきり言って」
てちのお弁当箱も洗いながらぽたぽたと涙はそう簡単には止まらなかった。
洗い物を終えてソファーに座るとてちも隣に座った。
私は俯いたまま涙を拭った。
「ねえ、ねる...どうしたの...?」
「っ...なんで...っ」
「うん」
「なんで...田村さんと抱き合ってたの...」
「...ねる、見ちゃったんだ」
「...っ」
ぐすぐすと鼻をすすって泣いているとてちは私を抱き締めてきた。
「あのね、焼却炉でラブレター捨ててる時に保乃が来て、付き合ってくださいって言われたの」
「...」
「だけど、私にはねるがいるからそれは出来ないって断ったら泣かれちゃって」
「...抱き締めなくても良いじゃん...」
「うん、それはごめん。ただ慰めてただけだよ。だからねる、もう泣かないで?」
「てちのばか」
「ごめん。勘違いさせちゃって」
私はてちの背中に手をまわして抱きついた。
「今度誰か抱き締めてたら許さんけん」
「ん。もうしない」
顔を上げててちを見つめるとふんわりと微笑んでた。
てちは私の涙の跡が残る頬を撫でてキスをしてくれた。
「ねる、好きだよ」
「...私も好き」
ぎゅっと抱き締められ私はようやく安堵して微笑む。
ねえ、てち。
私を一生離さないでね。
二人の想いが同じでありますように。
と、心の中で思った。
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