友梨奈side
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「さ、りーさ」
「ん...?」
「お粥出来たよ」
「あ、ありがとう」

あ、そういえば理佐に言ってなかった事があった。
起き上がり器を持ってお粥を口にしようとした理佐に声をかけた。

「理佐」
「うん?」
「あのね、写真撮られた」
「誰に」
「看護士さんに。警察官の人に言われたからって」
「松本さんかな...」
「胸は隠したよ。恥ずかしいから」
「そりゃそうでしょ」

ふふっと笑った理佐に恥ずかしくて自分のお粥を食べる。

「あっふ」
「友梨奈、ふーふーしないから」

今度は念入りに息を吹きかけて食べた。

「はー...友梨奈のお粥美味しい」
「そう?」
「うん、塩加減いい感じ」
「いつでも作ってあげる」
「ありがとう」

理佐は私の髪をわしゃわしゃと撫でる。
そこだけいっつもくしゃくしゃになるから理佐の手から逃げた。

「あ、逃げたー」
「んふふっ」

後でちゅー地獄ね、と言われドキッとした。
でも好きな人のしんどい姿は見たくないからいいよ、と言うと理佐は唇にはしないからと微笑んで呟いた。

「移して良いよ?」
「だめ。友梨奈の辛そうな所見たくないから」
「...ふふっ」
「どうしたの?」
「いや、私も同じ事考えてたから」
「以心伝心だね」
「ん。だね」

理佐はお粥を食べ終えるとごちそうさまでしたと手を合わせて言ってくれた。
それだけでも嬉しく思って微笑んで理佐を見つめた。

「友梨奈、やけどどう?」
「もうヒリヒリしなくなったよ」
「じゃあ一緒にお風呂に入る?」
「うん」
「呼ぶからおいでよ」
「ん」

私はお粥を食べ終えて理佐の器もシンクに持って行って洗った。


数分後理佐が私を呼んでぱたぱたと走って脱衣所に行くとパジャマとショーツを脱いで洗濯機の中に入れ、包帯を外した。
浴室に入ると理佐は全身を洗い終わっていて、椅子に私を誘導した。
ちょっとぬるま湯にした理佐は脚から順に身体にかけて頭を濡らす。

「痛くない?」
「うん、大丈夫」

髪を洗ってもらってあらかじめ理佐が用意してくれたタオルを泡立てて身体を洗ってくれた。
泡が流されていくと追い焚きで温まった湯船に一緒に浸かる。

「気持ちいいねー」

理佐は脚を伸ばして膝を抱えている私のお尻にくっつけるとググッと引き寄せてきた。

「もっとこっちおいでよ。てかここおいで」

太腿を指差してきたので私は素直に従った。
ぎゅっと抱きつくと理佐も私を抱き締めてくれた。
でも理佐は腕をすぐに解くと両頬を包んで顔中にキスをした。

「くすぐったい。んふふ」
「我慢」

クスクス笑いながら理佐のキスを受け止める。
満足したのかキスの嵐が止み、理佐は綺麗に微笑んだ。
理佐は綺麗だなぁ。なんて思いながら見つめていると後頭部を引き寄せられて唇が重なり合う。
ゆっくり離されると我慢出来なかった、と呟く理佐に私はニヤける顔を堪えた。

「もう上がって薬塗ろ」

頷いて浴室から出るとバスタオルで包み込まれ髪と身体を拭かれた。

「友梨奈のパジャマと下着これね」
「ありがとう」

理佐は私の使ったバスタオルで全身を拭くとショーツを脚に通してパジャマを着た。

「洗濯物回さないと」

と言って洗剤を入れてボタンを押した。
私も理佐と同様、ショーツを穿きパジャマを着てリビングに向かった。
理佐が髪を乾かしてる間ソファーに座ってTVをつけて画面を観た。
コツメカワウソの特集がやっていて思わず食い入る様に見つめた。
可愛いなぁ。ペットにしたいな。

「友梨奈髪乾かすよー」
「うん」

ドライヤーで髪を乾かしてもらってる最中にも画面に釘付けになった。
やがてドライヤーの音が止むとコームで髪を整えられる。

「ありがとう理佐」
「はいね」

理佐はドライヤーを片付けに行き、コツメカワウソの特集が終わるとTVを消した。

「あれ、TV観ないの?」
「うんもういい」
「あ、友梨奈薬」
「もういいよ」
「だーめ。はいおいで」

手を掴まれて寝室に連れて行かれ、脱衣所に置かれた包帯を理佐が持ってきた。
パジャマの上を脱ぐと理佐は薬を塗っていく。
それが終わると包帯を一度巻いていき、それから包帯を巻いてもらった。

「あと飲み薬だね」

キッチンに行った理佐を待っていると水を持ってきた理佐は飲み薬を手渡してきた。
私はそれを飲んで水で流し込んだ。
コップを片付けに行った理佐はベッドに横たわる私を見て微笑むとちょうど洗濯物が止まって干しに行ってしまった。
私は理佐を待ちながら、目を閉じた。
しばらくして理佐が戻って来ると目を開けて見つめた。
理佐は隣に寝そべる。

「もう一回寝ちゃお」
「うん」

抱き締めてきた理佐に擦り寄って私は目をまた閉じた。







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