友梨奈side
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「りさ、りさ」
「ん?練習してるの?」

私は何年か振りに自分の声が出せた事が嬉しくて
好きな人の名前を何度も呼んで練習した。

「友梨奈、こばは?」
「っ、こ...こ、ばっ」
「言えたじゃん!」

ソファーに座っていてぎゅっと理佐は抱き締めてくれた。
私は嬉しくて抱きついてふふっと笑った。

「こば喜ぶよ。友梨奈の声聞いたら」
「ほ、と...?」
「本当。段々喋れてきたね」
「りさ、の、お...かげ...」

頭を撫でられて目を細める。
たどたどしいけど言葉に出来たのが何より嬉しかった。
何年振りの自分の声だろう。
違和感があるなぁ。
理佐の太腿に頭を乗せて寝そべると見上げる。

「ん?」
「りさ、す、きっ」
「っ!友梨奈〜」

ぎゅっと抱き締められて頬にキスをされた。
恥ずかしそうにはにかみ、横向きになって目を閉じる。

髪を撫でる手が心地よくて、いつの間にか私は眠ってしまった。






気が付くと理佐の太腿じゃなくてクッションに頭を乗せていた。
起き上がり理佐を捜した。

「りさ...?」

寝室に行くと理佐が誰かと電話で話してた。
寂しい。
理佐は私に気が付くとおいでと手招きする。
私は理佐の太腿に跨がって抱きつく。
髪を撫でる理佐の首筋に擦り寄る。

「んーでも今私彼女いるから」

誰と電話してるの?
早く電話を切って私を見て。
顔を上げて理佐の片方だけ髪をかけた剥き出しの耳朶を舐めた。

「っ!」

肩を竦め理佐は私を見つめる。
悪戯心がわいてきた私は執拗に耳朶を甘噛みして吸い付く。

「んふっ!ご、ごめんまた電話して」

通話を切った理佐はクスクス笑い、私の顔を見つめてきた。

「友梨奈焼きもち?」
「っ、りさ」

頷くと理佐は私の後頭部を引き寄せ唇にキスをした。
私も肩に手を置いて口付けを受ける。
薄く開けた唇に理佐の舌が入ってきたのを目を閉じて感じ、必死になって絡める。
酸素が足りなくて脳が蕩けちゃいそうだった。
舌を甘噛みされて離される。

「っ、は...っ」
「可愛い、友梨奈。顔真っ赤だよ」

ぎゅっと抱き締められて呼吸を整えると首に腕をかけてすりすりと擦り寄って甘えた。

「りさ」
「ん?」
「す、き」
「...こばは?」
「こ、ばも...だ、けど...りさ、...こ...いびと」
「〜っ、友梨奈可愛い」

顔中にキスされてくすぐったくてクスクス笑う。
理佐と一緒にいると楽しくて幸せだった。
DVされていた事を忘れるくらい。
ベッドでふざけて遊んでいると理佐が携帯で私を撮る。何枚も何枚も。

「可愛い写真いっぱい撮っちゃった」

待ち受けにしよう、と呟いたので私も携帯をバッグから取り出してベッドに寝そべると理佐を撮った。

「りさ」
「ん?」

呼んだところでシャッターを押す。
待ち受けにすると嬉しくなった。
嬉しそうに微笑んでいると横からカシャカシャと音がする。

「りさ、」

また音がした。

「待ち受けどれにしよう」

悩んでる理佐に抱きついて腕に擦り寄る。

「友梨奈携帯見て」

言われるがまま携帯を見るとカシャッと音がした。

「これにしよっ」

理佐が携帯を弄るのを見つめる。

「りさ」

名前を呼ぶと顔を寄せて写真を撮った。
私もこの写真待ち受けに変更しよう。
ふふっと微笑んで待ち受けにすると携帯を頭上の台の上に置いた。

「今日土曜日かー。友梨奈とたくさんイチャイチャ出来るね」

理佐の言葉に顔が赤くなるけどたくさん甘えよう。

私は理佐に強く抱きついた。






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