友梨奈side
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理佐は私の身体を綺麗と言ってくれた。
全てが愛おしいだなんて。私の身体には不釣り合いなのに。
私は涙が溢れて我慢出来なかった。
理佐の口付けを受けて首に腕を廻し、差し込まれた舌を必死に絡めた。
飲み切れない唾液が口端を伝う。
涙目のまま顔を離すと理佐は私の口端の唾液を舐め取った。
「...友梨奈、熱かったでしょ」
「っ...」
やけどの跡を撫でる理佐にこくんと頷いて鼻を啜る。
母は再婚相手の味方をし、熱湯を浴びせられる私を見て見ぬフリした。
今でも母のあの顔は脳裏に焼き付いてる。
「友梨奈、私が守ってあげるから」
私の身体を抱き寄せて理佐は言った。
言葉で伝えたいけど声が出せない私はぎゅっと理佐に抱きついて擦り寄った。
(ありがとう理佐)
心の中で呟き、理佐の温もりを感じる。
「もう上がろっか」
こくんと頷いて理佐から離れると浴室から出て理佐にバスタオルで包まれた。
身体まで拭いてもらい口パクで(ありがとう)とお礼を言うと「ん」って頬を近づける理佐。
あ、キスだな?
ちゅっと口付けると嬉しそうに微笑んだ理佐に私も微笑む。
ショーツを脚に通して部屋着に着替える。
理佐もパジャマに着替えるとドライヤーを持って、
「友梨奈ー、こっちおいでー」
私を呼ぶからパタパタと駆け寄って、ソファーに座ってる理佐の脚の間にちょこんと座った。
髪を乾かしてもらっていると手で押さえて欠伸をする。
人に髪を乾かしてもらうと眠くなるなぁ、なんて思っていると本当に眠たくなってきた。
うとうととしていると理佐が「寝ちゃだめだよー」って言うから更に眠たくなっちゃうじゃん。
あぁ、もう限界。
瞼を閉じると首がかくんとなる。
ドライヤーの音が止まるとちょっと目を開ける。
「友梨奈起きててよ?」
理佐は微笑んで私の髪をコームで梳き、その場から離れた。
空いたソファーに横になると私はいつの間にか寝てしまった。
自分の髪を乾かしてきた理佐は寝ている私にクスクス笑い「ばぶちゃんだなぁ」と呟いて、ヒョイッと軽く私を抱き上げるとベッドに寝かせた。
理佐はリビングに戻り、ジュース類を冷蔵庫に入れ電気を消すと寝室の扉を閉めて寝室の電気も消してベッドに入った。
私に腕枕をして抱き締め目を閉じた。
翌朝、目をうっすら開けると理佐の寝顔があった。
綺麗な寝顔だなぁ。本当に。
ふふっと微笑んで理佐に擦り寄る。
理佐は「うーん友梨奈ぁ...」って寝言を言った。どんな夢見てるのかなぁ。
あ、そういえば私昨日ソファーで寝ちゃったんだ。
ベッドにいるって事は理佐が連れてきてくれたんだ。
嬉しいなぁ。私達恋人みたい。
ん?待って。好きとは言ったけど「付き合って」とは言われてないなぁ。
どっちが先に言うものなのかな。
私?それとも理佐?
私から言ったら断られた時のショックがでかいな。
どうしようか悩んでると「友梨奈...?」と理佐の胸に顔を寄せている私を理佐が呼んだ。
(おはよう)
「おはよう」
私の髪に頬を当ててすりすりしてる理佐に言おうかどうしようか思っていると、
「んー?どうしたの」
理佐は言いあぐねている私に気付く。
意を決して顔を上げた。
「友梨奈?」
(理佐、私と付き合って...?)
「んー?」
理佐の手の平に(わたしとつきあって?)と書いた。
理佐は目をぱっちり開けて「もう一回書いて」って言ってきたから、もう一回書いてみた。
「っ...」
(だめかな?)
「友梨奈ぁ〜っ」
ほっぺたをつけてすりすりしてきた。
「それ私から言おうと思ったのに〜」
理佐の手の平に(ごめん)と書くと「謝らなくてもいいの」と顔を見つめて理佐は呟いた。
「友梨奈好き」
(知ってる)
ふにゃっと微笑んで静かに頷くと二人でクスクスと笑い合った。
こんな幸せな日が来るなんて思ってなかった。
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短くてすみません。
お読み下さりありがとうございました。