目を開けると目覚まし時計を見て14時過ぎだった。
よく寝たなー。
友梨奈の顔を覗き込むと気持ち良さそうに寝てる。
可愛いなぁ。
あどけない表情に目を細める。
「友梨奈」
「...?」
「そろそろ起きないと夜寝れなくなるよ」
「んー...」
友梨奈は目を擦って起き上がるがすぐに私の上になだれ込む。
よしよしと頭を撫でて抱き締めた。
友梨奈は人間になりたいと言ったけど本当にそれで良いのかなぁ。
私のエゴを押し付けている気がする。
「友梨奈...本当に人間でいいの...?」
「ん...?」
「私、わがまま言ってない?」
目を開ける友梨奈は私を見つめる。
「理佐、わがままなのは私...理佐を困らせてる」
「困ってないよ。ただ友梨奈は本当に人間で良いのか、」
「いいの。理佐と話せなくなるのは嫌」
「...じゃあ、友梨奈は元から人間っていうお願い」
「...分かった」
友梨奈は起き上がって念じると私が止めた。
「友梨奈、ちょっと待って」
「理佐?」
「心の準備が...だからちょっと待って」
起き上がると友梨奈が抱きついてきた。
「理佐...」
「ん?」
「ごめんね」
ぎゅっと抱き締めて「どうして謝るの」と尋ねる。
顔を覗き込むと今にも泣きそうな表情をしていた。
「理佐を困らせたくない」
「困ってないよ。大丈夫」
背中を摩って呟く。
カワウソの友梨奈も可愛かったからそれが見れなくなると少し寂しいなぁ。なんて。
でも友梨奈の意見を尊重して人間にしてあげよう。
「友梨奈、元から人間、これが最後のお願い」
「理佐」
「いいよ」
友梨奈は目を閉じると煙が友梨奈を包み込む。
モヤが晴れると変わらず友梨奈がいた。
「変化出来る...?」
「んー...っ出来ないっ」
手をグーパーグーパーさせている友梨奈。
思わず抱き締めた。
「友梨奈、ありがとう人間になってくれて」
「理佐、ありがとうはこっちだよ」
私は両頬を包み込むとキスをした。
友梨奈は目を閉じて唇を押し付けてくる。
ゆっくり唇を離すと額を付け合って微笑んだ。
きっと友梨奈は神様がくれたプレゼントだ。
愛を育んでいこう。
愛おしい元コツメカワウソの彼女と。
END
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お読み下さりありがとうございました。