センターなんてもう嫌。
歌いたくもない。
「やる気もねーくせにセンターに立つな」
「本当やる気あんの?」
言葉の暴力が飛んでくる。
耳を塞ぎたくなる。
したり顔であんた達は私の何を知っているの?
本当の私を知っているの?
「て...平手っ」
「理佐...」
「大丈夫?」
友梨奈の携帯を見るとアンチが友梨奈の批判をしている画面だった。
私は無理矢理携帯を取って画面を消した。
「理佐...」
椅子に座って抱き締めた。
苦しんでるのが丸わかりだ。
「なんであんなの見るの」
「見ちゃうんだもん...見たくなくても」
「余計傷付くでしょ」
「怖い、理佐...」
「大丈夫。側にいるから」
震える身体を摩るしか出来ない自分が歯痒い。
「歌えないっ...」
「平手...っ」
「やだっ、ステージに立ちたくないっ」
パニックを起こし始める友梨奈をぎゅっと抱き締め名前を何度も呼びかける。
「やだっ...歌いたくないっ!」
「平手っ!」
両頬を包むと涙目になっていた。
メンバーも心配して集まってきた。
「21人で欅坂46でしょう?」
私が呟くと友梨奈は涙を零した。
「てちそうだよ!」
「大丈夫カバーするから」
「みんなっ...」
ここには味方しかいない。
「ね?平手はメンバーに愛されてる」
こくんと頷く友梨奈を抱き締めるとみんなが私もと抱き締めてくる。
「平手...一緒に頑張ろう?」
「...うん」
扉が開きADの人がスタンバイお願いします、と言ってきた。
「平手...」
「理佐...」
手を繋いでステージへと向かう。
大丈夫。貴女なら出来る。
貴女なら乗り越えられる。
だから、その存在感を見せつけてやろう。
平手友梨奈という存在を。
END
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