翌朝目をうっすら開けると友梨奈がまた胸に顔を埋めて寝ていた。
しかも脚でがっちりホールドされている。
私の胸は友梨奈にとって心地良いのかな?
でも恥ずかしいのには変わらないけど、でも可愛いからいっか。
くしゃくしゃの髪を撫でていると胸から顔を上げてまたすやすやと寝ている。
無防備な友梨奈の寝顔に自然と笑顔になる。
唇をゆっくり重ねた。
「ん...」
声を漏らすが起きる気配がない。
「っ...」
何度も友梨奈の唇を啄む。
それでも起きない。
愛しい眠り姫だ。
白いその肌に触れる。
ぷにっとつついてみると友梨奈は眉間に皺を寄せる。
そんな顔も可愛くて微笑む。
さわさわと触っているとくすぐったいのか首を動かした。
「ん...りさ」
ん?起きたのかな?
「友梨奈...」
呼んでみるが返事が無い。
すると脚が解かれ、ゴロンと背中を向ける友梨奈。
私は背後から抱きしめてうなじに顔を寄せた。
甘い匂いに目を閉じていつの間にかまた眠ってしまった。
ーーーーーー
「理佐...」
私が気持ち良く寝入っていると友梨奈は腕の中でくるりと回って顔を見つめる。
ゆっくりと唇が重なり私は目を開けた。
目を閉じて口付けている友梨奈を目の当たりにして呼吸が止まる。
ギュッと目を閉じて寝ているフリをした。
「好き...」
親指で唇をなぞり呟く友梨奈。
心拍数がやばい。
こんなに友梨奈ってば大胆だったの?!
私はさも今起きた様に目を開けた。
「あ...起きた...?」
「うん...」
ふにゃっと微笑む友梨奈に私も微笑んで額を付け合った。
私が思う以上に友梨奈は私の事を好きでいてくれてるんだと思いながら抱きしめる。
愛しい彼女。
「理佐...お腹空いた」
「パンとご飯どっちが食べたい?」
「パンがいい」
「ん。じゃあ起きよっか」
身体を起こすとベッドから降りて一緒にリビングに行く。
座椅子に座った友梨奈を見て、キッチンに立つと食パンを二枚トースターに入れた。
「友梨奈紅茶は?」
「飲む」
「はーい」
ドリップパックになっている紅茶の封を開けてお湯を二人分のコップに注ぐ。
「どうぞ」
「ありがとう、理佐」
熱いから気を付けて、と言おうとしたら「あっつ」と舌を出す友梨奈にクスクスと笑う。
チンッと鳴ったトースターからトーストを出して
お皿に乗せるとテーブルに置き、冷蔵庫からマーガリンを出した。
「友梨奈塗る?」
「ん」
バターナイフでマーガリンをトーストに塗っていくと友梨奈が食べ始める。
私も同様に塗って食べ始めた。
途中、紅茶を飲みながら黙々と食べていると、休憩ーと言って友梨奈が私の膝の上に頭を乗せた。
「友梨奈、お腹空いたんじゃないの?」
「空いたけどちょっと休憩」
友梨奈は私のお腹に顔を向けて寝そべっている。
...甘えたいのかな。
私はトーストを食べながら友梨奈の頭を撫で続けた。
「友梨奈ー、トースト不味くなっちゃうよー」
「うん」
いや、「うん」じゃなくて。可愛いけども。
私のお腹に顔を埋める友梨奈の首をくすぐる。
「ひっ、んふっ」
「起きて食べないともっとくすぐるよ」
「んふふっ、んっ、起きるからっ」
手を離すと友梨奈は渋々起き上がり、トーストを食べた。
先に私が食べ終えて紅茶を飲む。
チラッと友梨奈の方を見ると小さな口でもぐもぐと頬をぱんぱんにして食べていた。
「友梨奈、リスみたい」
「んっ?」
「んふふっ。かーわいい」
膨らんだ頬にちゅっと口付ける。
恥ずかしいのか一生懸命口を動かして食べる姿が小動物だ。
「リスじゃないもん」
トーストを飲み込んで友梨奈が唇を尖らせて呟いた。
拗ねる友梨奈も可愛い。
「じゃあなに?」
「カワウソ」
「カワウソ?」
「みんなに似てるってよく言われる」
紅茶を飲んで友梨奈は微笑む。
気に入ってるのかな。
「じゃあ友梨奈はカワウソね」
「理佐はハリネズミ」
「え...私そんな刺々しい?」
「そういう事じゃなくてなんとなく。なんとなくだよ」
「リスが良かった」
今度は私が唇を尖らせる。
すると視線を遮られ唇にキスをされた。
「...分かった。じゃあ理佐はリスね」
悪戯っぽく微笑まれて顔を赤くした。
どうやら主導権は友梨奈にある様だ。
こんなはずじゃなかった。
「理佐、これからもよろしくね?」
友梨奈はにっこりと微笑んで呟いた。
END
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