「友梨奈...友梨奈」
「...?」
「お粥出来たよ」
「...食べる...」

熱はあるけど食欲はあるから大丈夫かな。
気怠い身体を起こしてお盆に乗せられた容器の中には梅干し入りのお粥。

「理佐...ありがとう...」
「お礼なんていいの。彼女だから当たり前でしょう?」

自分で言って恥ずかしそうにしている理佐に柔らかく微笑んで、「いただきます」と呟き食べ始める。お粥の熱さに思わず「あっふ」と眉間に皺を寄せて言った。

「ふーふーしないからだよ」

貸して、と言われ理佐は器を持ってベッドに座ってスプーンで掬ったお粥に息を吹きかける。

「はい、あーん」

あーんと口を開けてお粥を口に入れた。
美味しくて理佐を見つめるとふにゃっと微笑む。

「美味しい?」
「...ん」

飲み込んで頷くと完食するまで理佐に食べさせてもらった。

「ごちそうさまでした」
「よく食べたね」
「だって美味しいから...」
「ありがとう」

理佐は私の唇にキスをした。

「風邪移るよ?」
「いいよ別に。はい、横になって」

横になると布団を掛けてくれた。
理佐はベッドから降り、側に座りコンビニで買ってきたおにぎりを出してフィルムを外して食べ始める。
私は理佐が恋しくなって手を伸ばした。
理佐は理解したみたいで手を握る。
その手を自分の頬に当てた。
理佐がさわさわと撫でてきてくすぐったくて目を細めた。

「...ねぇ理佐...」
「ん...?」
「...本当に私と結婚していいの...?」
「なに言ってるの。私はもう友梨奈と結婚してると思ってるよ?」
「...そっか...」

嬉しさのあまり顔が綻ぶ。

「友梨奈は?私でいいの...?」
「私も理佐と結婚してるって思ってる」
「...どうしたの、そんな事聞いて」
「...ううん...本当にいいのか確かめたくて聞いてみただけ...」
「きっと風邪のせいだね」

おにぎりを食べ終えた理佐は膝を抱えてまだ私の頬を撫でていた。
それが気持ち良くて、でも熱のせいもあって目がとろんとしてきた。

「友梨奈寝ていいよ?」
「...やだ...理佐がいないと寂しい...」

頬を撫でていた手を握り、理佐を見つめる。

「じゃあ友梨奈が寝るまで側にいる」
「理佐、好き...」
「甘えん坊友梨奈ちゃん」
「...だめ...?」
「だめじゃないよ。可愛い」
「...可愛くない...可愛いのは理佐」

もう限界が近付いてきて目を閉じる。
理佐は私が寝入るまでずっと約束通り側にいてくれた。


気がついた時にはもう私は理佐の腕の中にいた。
いつものシャンプーのいい香りがして擦り寄る。

理佐もぎゅっと抱きしめてくれて安心して眠りについた。


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