理佐の手を引いて中を見渡すと色んな種類のウエディングドレスが飾ってあってどれも綺麗だった。

「お母さんー」
「ねる、来たのね」
「うん。こっちが平手友梨奈ちゃんで、で、渡邉理佐ちゃんでーす」
「いつもお世話になってます。ねるの母親です」

私達は緊張した面持ちで頭を下げた。

「じゃあ理佐ちゃんのウエディングドレス決めようかしらね」
「えっ...あ、」
「行っておいで理佐」

ねるのお母さんに連れられて2階に行く理佐の後をねると一緒について行った。
椅子に座って待っているとねるのお母さんが綺麗なドレスを理佐に渡し、理佐はそれを受け取ると試着室に入っていった。

「楽しみだね」
「うん」

数分後、ねるのお母さんが試着室に入った。

シャッと試着室のカーテンが開くと綺麗な形のウエディングドレスを身に纏った理佐がいた。
恥ずかしそうにしながら私を見つめる理佐に思わず綺麗...と呟いた。

「変...かな」

近寄ってきた理佐はそう言って照れくさそうに笑った。
私は首を左右に振り、

「綺麗だよ」

と呟いた。
その後、何着か試着して制服姿に戻った理佐はどれがいいか悩んでいた。

「友梨奈、どれが良かった?」
「うーん、...最初の衣装、かな」
「だよねっ。私もそう思った」
「じゃあ最初の衣装にしましょうね」

ねるのお母さんは優しく微笑み、1番目に着た衣装を避けて理佐を座らせるとヒールを履かせた。

「どうかしら。痛くない?」
「はい、大丈夫です」
「じゃあヒールもこれで良いわね」

ティアラも選んで綺麗な物にしてもらい、全部揃えた。

「ねる...教会ってどこの?」
「うちの近くの教会。曜日は今週の土曜日21時ね。迎えに行くから」
「うん...あのさ呼びたい人いるんだ。住所教えてくれない?」
「いいよ」

鞄からノートを出してちぎるとねるがペンを取り出して住所を書いていく。

「はい、てち」
「ありがとう」

その場を離れて携帯を取り出すとある人物に連絡を取った。
すぐに電話に出てくれた相手に微笑んで事の事情を話すととても喜んでくれた。
住所を教えてまたねと通話を切った。
携帯をポケットに入れて戻ると理佐も一通り終わったみたい。

「じゃあ今週の土曜日ね」
「え...あ、はい。よろしくお願いします」
「ブーケもこっちで準備するから心配しないでね」
「あ、あの...お金」
「いいのよ。いつもねるがお世話になってるから。そのお礼」
「でも...」
「理佐ちゃん、気にしないで」

ねるのお母さんはにっこり微笑んで理佐の手を包み込む。

「これからもねるをよろしくね」
「はい」

ふふっと二人で微笑んで理佐は私達に近寄ってきた。

「終わったよ」
「よし、じゃあタピオカミルクティーでも飲んで帰ろっか」
「いいね」

私達の会話にねるのお母さんがにっこり微笑んでいる。

「気をつけて帰るのよ」
「はーい」

ねるは微笑んで返事をして階下に降りた。
ねるのお母さんに頭を下げて別れ、ビルを出ると近くのタピオカミルクティー屋に向かう。

お店に着くと注文して飲みながら三人で談笑しながらバスを待った。

15分後、バスがきて乗り込むと頭がズキズキして私は理佐の肩に頭を乗せて目を閉じた。
明日きっと雨だなと思いながら、バスに揺られいつの間にか学校付近にバスが停車した。

「友梨奈、降りるよ」
「ん...」

今度は理佐が三人分のお金を払ってバスから降りた。

「理佐ありがとうー」
「こっちこそ」
「じゃあまた明日ねっ」

ねるに手を振り、二人手を繋いで自宅に帰った。

ーーーーーー
自宅に着くとマフラーを外し、鞄からお弁当箱を出してシンクに置く。
眼帯をテーブルに置いて、座椅子に座ると膝を抱えた。
不思議に思った理佐は私に近寄って額に触れた。

「あつっ。友梨奈、パーカー脱いで」

風邪を引いた私は言われた通りパーカーを脱いでズボンも脱ぐと、寝間着を理佐が着せていく。

「立てれる?」
「ん...」

立ち上がってふらつきながらズボンを上げられ、ベッドに寝かせられる。
理佐は体温計を救急箱から取り出すと、私の服に手を入れて脇に挟む。

「ちょっと押さえててね」

そう言って冷蔵庫から冷えピタシートを持ってきた。
透明フィルムを剥がすと額に貼られた。
冷たくて気持ちいい。
やがて体温計が鳴り、取り出すと38度5分もあった。
理佐は私の手から体温計を受け取るとビックリしていた。

「友梨奈、なんか食べたいのある?」
「理佐の梅干し入りお粥」
「分かった。ちょっと待ってね」

そう言って冷蔵庫へと向かう理佐を目で追いながら見つめる。

「買い物行ってくるから待ってて」

財布を持ち、家を出る理佐に寂しさを覚えながらうとうととして目を閉じる。
今日の理佐、綺麗だったな...。
私と本当に結婚していいのかな。
なんて思いながらいつの間にか寝てしまった。


「な...友梨奈」
「...理佐...」

目をうっすら開けてぽやんと理佐を見上げる。

「スポーツドリンクと風邪薬買ってきたから飲んで?」
「...ん」

怠い身体を起こして薬を口に含み、スポーツドリンクで飲み込む。

再びベッドに寝そべる。

「お粥今作るからね」

髪を撫でられて、理佐はキッチンに立った。
私はゴンノスケを抱いて目を閉じる。



ーーーーーー