家に帰ると私は機嫌良く鼻歌混じりで制服を脱ぎ、部屋着に着替えてコンタクトを外す為洗面台に向かった。
コンタクトを外してケースにしまうと眼鏡をかけ、お弁当箱を持ってキッチンに行った。
お弁当箱を洗って拭き、さて、何を作ろうかと思案しながら冷蔵庫を開けた。
玉子がまだあるからチキンライスにしようと思い、作り始める。
鳥もも肉を細かく切って炒め、
冷凍庫からミックスベジタブルを出して少量入れる。
てちの嫌いなグリンピースも入っているけど、食べたいって言ったら避けてあげればいっかと思い、今日の晩ごはんも兼ねてご飯の量を多めにした。全体に火が通った所でケチャップをかけて混ぜ合わせる。軽く塩コショウで味を整えて、
出来上がったチキンライスをお皿とお弁当箱に分けて入れた。
あとは薄く伸ばして焼いた玉子をお弁当に乗せた。
お皿に盛り付けたチキンライスとスプーンをテーブルに置き、お茶を冷蔵庫から取り出してマグカップに注いで座席に座る。
「いただきます」と呟いて食べ始める。
うん、美味しい。よく出来た方だ。
ぱくぱくと食べ進めて完食するとお茶を飲む。
後片付けをしてそれから冷めたお弁当を冷蔵庫に入れてお風呂に入りに行った。

全身を洗い終えて湯船に浸かるとてちの手を握った手を見た。
やっと一歩前進出来た。
後は抱きしめるだけ。
出来たらキスもしたい、なんて欲張りかな。
なんて思いながら浴槽から上がって浴室を出た。
全身をタオルで拭き、ショーツに脚を通し部屋着に着替えて髪を乾かした。
それが終わるとスキンケアをして、眼鏡を持って寝室へと向かう。
ああ、そういえばとラブレターを取り出して一枚ずつ読んでいく。
みんなどれも付き合ってくださいばっかりだった。
私のどこが良いのか。
みんなごめんと思いながらゴミ箱に捨てた。
携帯を取り出すと画面にメッセージ一件と表示されていた。
暗証番号を打ち込み、画面を開くとてちからだった。

(先輩、おやすみなさい)

あー、律儀な優しい子。
私も、

(てち、おやすみ)

と返信した。
眼鏡を置いて目覚ましをセットし、ベッドに入った。
今日はとっても素晴らしい日だった。
にやけながら目を閉じると最後に振り向いたてちが瞼の裏に映し出される。

その夜はなかなか寝つけなかった。


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