家に帰るとバッグを寝室に置いてマフラーを首から取った。
制服から部屋着に着替えて椅子に座った。
ばかだなぁ私。
ただの罰ゲームに引っかかって泣いているなんて。
テーブルに両腕を置いて泣きじゃくった。
嗚咽を漏らしてまるで子供の様に。
するとインターホンが鳴る。
出る気にもなれず、放って置いた。
だけどなかなかインターホンは鳴り止まず仕方なく受話器を取った。

「はい...」
「友梨奈、開けて」

理佐の低い声が受話器越しに聞こえる。

「お弁当箱忘れたでしょ。だから開けて」
「...置いておいて」

受話器を切るとしばらく放置した。
もう理佐は帰っただろうと思い、鍵を開けると理佐がお弁当箱を抱えて立っていた。
扉を閉めようとすると理佐は脚を入れて閉じれなくした。

「友梨奈...話聞いて」
「...私は話すことなんてない」

目を伏せてまた涙が溢れてくる。
と、突然扉が開いて抱きしめられた。
私は拒んで身体を突き放した。

「...楽しんでたんでしょう?」
「...楽しんでなんかいない」

お弁当箱を奪い踵を返してリビングに戻った。

「友梨奈...」
「私に構わないで」
「一目惚れだったの」
「嘘なんて要らない」
「友梨奈っ」

身体を離され床に押し倒された。
無理矢理、理佐が唇を重ねてきた。
涙が溢れて止まらない。
必死に抵抗して身体を押すがびくともしない。
叩いて拒んでも唇を離してくれなかった。
ようやく唇が離れると私は肩で息をした。

「はぁっ、はっ」
「...私は友梨奈がいいの」
「っ...嘘」
「嘘なんかじゃない。罰ゲームなんて私はしてない」
「でも、お昼の時、」
「友梨奈最後まで話聞いてないでしょ?」

あまりにもショックでその場から逃げたから。

「勝手にあっちが罰ゲーム始めただけで、乗る気にもなってなかったし。私はちゃんと言ったよ。罰ゲームなんかしてないって」
「...」
「...ねえ友梨奈」
「...?」
「私と、改めて付き合って?」
「っ...根暗でも?」
「こら...そんな事言わないの」
「...だって本当の事だし」

理佐は私の手を掴んで起き上がらせるとぎゅっと抱きしめてきた。

「...友梨奈、返事は?」
「...うん。私で良かったら...」
「...どうしてそんなに可愛いの」

私の肩に頬を寄せてすりすりと擦り付けてくる。
そして顔を上げて見つめ合う。
理佐に両頬を包み込まれ唇を奪われた。

「っ...ふ...」

何度も何度も角度を変えて理佐は私の唇を堪能した。
呼吸の仕方が分からずに理佐の肩をとんとんと叩く。
唇が離されて私は頬を赤くして荒く呼吸を繰り返した。

「理佐...っ」
「...ごめん、止められない」

もう一度唇を重ねられた。

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「理佐...激しい」

私は顔を真っ赤にして呟いた。

「だって好きなんだもん。それに友梨奈鼻呼吸しないから苦しいんだよ」
「だってこんなキスしたの初めてだし...」

「やり方わかんないもん」とぼそっと言うと理佐は嬉しそうに微笑んで、

「私が教えてあげる」

とやる気満々で言った。
先が思いやられる。

「友梨奈、今日も泊まっていってもいい?」
「うんいいよ」
「やったー。友梨奈と一緒にいられる」

嬉しそうな理佐に私はにっこりと微笑んだ。
「お風呂一緒に入ろうね」と言われ、また恥ずかしい思いをするのかと思って頬を赤くさせて小さく頷いた。

「ねえ理佐」
「ん?」
「好きだよ」

優しく微笑んで呟くと、満面の笑みで理佐ははにかんだ。
誰かを好きになるってこんなにも幸せだったんだと知った。
教えてくれた理佐の頬に口付けて抱きしめ合った。
理佐、ありがとう。




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凛さんリクエストありがとうございました!