ノンちゃんとのセックスの後、あたしたちはしばらくゴロゴロと寝転がり他愛もない話をしながら眠ってしまった。
目が覚めたらもう9時だった。
昨日は皆で盛り上がってて寝るのが遅かったし新幹線で少し寝ただけだ。あたしも疲れてたんだろう。
ノンちゃんはまだ寝息をたてていた。
起こさないようにそっと立ち上がる。
トイレに行くつもりだった。
だけどノンちゃんの寝顔をしばらく見ていた。
かわいいな。
そう思う。
早く一緒に暮らしたいな。
心底そう思う。
やがてノンちゃんが起きてお腹がすいたので近所の和食屋さんに行く事になった。近くにレストランなんてあったかな、と思いながらもノンちゃんが言うのだから間違いないだろう、あたしたちは手をつないで向かった。
駅を越えてその店はあった。
和食屋というより定食屋だった。
私はそこで野菜炒め定食を頼んだ。ノンちゃんは焼肉定食にうどんも頼んだ。この細い身体によく入るなあと思いながらあたしはどんどん口にしてゆくノンちゃんを愛おしく見つめた。
「明日は何時頃まで大丈夫?」
ノンちゃんが聞くので考える。明後日はもう仕事だ。
「うん、2時前の新幹線には乗ろうかな」
「そんな早いん?淋しいなあ」
言われるとキュンとくる。
あたしだってもっといたいもん。東京と大阪、この距離がはがゆかった。
「まあ、しゃあないもんな」
お会計3千円位はあたしが払い、店を後にした。
帰り道コンビニで飲み物をノンちゃんが買ってくれ、あたしたちはまた部屋に戻った。
しばらくテレビを観ていたりゲームをして楽しんだ。ゲームはノンちゃんの圧勝。当時流行っていた格闘技のゲームで全然面白くないしうまくできなかった。
それからお風呂に入ることになって一緒に入りたがっていたノンちゃんを必死で追いやりあたしはお風呂にゆっくりつかった。
ノンちゃんはお風呂とトイレは絶対別!っていう条件だけは譲れなかったと自慢していただけあって、そこは本当に良かった。
あたしが借りたドライヤーで髪を乾かしているうちにノンちゃんがお風呂に入り、あたしはすっかりいい気分になっていた。
他人と一緒に暮らした事はないけれどノンちゃんとならやっていける気がした。
だって凄く楽しい。嬉しい。幸せだ。
まだ物事の本質が見えていなかったあたしは表面上だけの出来事にすっかり気を許していた。自分に借金がある事も忘れていたしどうにかなるって思ってた。
この絶対的な幸せを絶対離さない。そう思っていた。
一緒のベッドに横になるとノンちゃんがあたしの手を握りだした。それからもう1つの手であたしの胸をまさぐり、またあたしたちはセックスした。
本当に気持ちよくてどうにかなりそうだった。
幸せだった。
次の日揃って寝坊したあたし達は急いで準備してなんとか3時少し過ぎの新幹線に間に合った。
ノンちゃんは入場券を買ってホームまで着いてきてくれてあたしたちは発車する寸前まで手を繋いでいた。
「絶対一緒に暮らそうな」
扉が閉まる瞬間ノンちゃんが言った。
あたしは泣きそうになったけどこらえて頷いた。
陳腐な昼ドラマのようだと笑いたければ笑ってくれていいよ。今のあたしなら笑っちゃうもん。
けどあの頃のあたしは必死だったんだろうね。
彼だけがあたしの光。
そう思って、というか思いこんでたんだろうね。