熱が出たと言うノンちゃんはあたしを迎えに新大阪の駅まで来てくれていた。
あたしはもちろん、1人でノンちゃんちに行けるって言ったんだよ?だからおうちであったかくして寝ててって言ったんだ。
けどノンちゃんはあたしがちゃんと自分の家の駅まで辿り着けるか心配だったみたい。
たしかに忘年会の夜、つーか明け方、タクシーで行って、朝しか電車も使ってないしね、不安だったんじゃないかな。
けど駅くらいだったら駅員に聞けば分かるでしょ。
けどノンちゃんは迎えに行くの一点張り。結局あたしが着いたらもうノンちゃんも着いてた。
今思えばノンちゃんは1人だと道に迷っちゃうくらいの女の子が好きだったのかもしれない。あの時は。
で、あたしは1人でけっこうさくさく何でもしちゃうけどそういうノンちゃんに合わせていたような気がする。それが楽しかったのかもしれないね。それかもしかしたらそういう女の子になりたかったのかもしれないね、ずっと。
現れたノンちゃんは割りと元気そうだった。
「大丈夫なの?」
ノンちゃんはすぐにあたしの手を繋いで頷いた。
「ほんまに来てくれたんやね。ありがとう」
その言葉が凄く凄く嬉しかった。
あたしは家族に買ったおまんじゅうを結局ノンちゃんに渡した。ここのおまんじゅうは凄く美味しくて、有名で、お姉ちゃんが楽しみにしてた。
でもあたしはあっけなくノンちゃんに渡した。
駅に着くとノンちゃんと近くのスーパーに寄った。そこでお茶とノンちゃんが欲しがってたからお菓子を買ってあげた。
「そうだ、明日の朝ごはん」
あたしは戻って食パンと卵とハムを買った。
買ったものをノンちゃんが持ってくれてそのままノンちゃんのマンションに向かった。
改めて見るとあんまり何もない街だな、と思った。車は結構バンバン走ってるんだけどね、飲食店も少ないし、スーパーもさっき買ったところだけだった、見た感じはね。
ファーストフードとかもないしね。
そう言えばノンちゃんのマンションの真横に消費者金融のATMがあって、そこはあたしも借りてるところで、ドキッとした。
ノンちゃんはあたしに借金があると知ったらどんなふうに思うだろう。
あたしはこの人と結婚するんだから、それまでには借金をどうにかしないと、って思った。
でも自分に今、どれくらい借金があるのかあんまりよく分からなかった。考えたくなかったしね。
6F、部屋に着くと
「お邪魔します」
小さく言ってブーツを脱いだ。
前来た時と変わってない、1人暮らしの男の部屋。
ノンちゃんはどかっとベッドに座って
「はよ、座って」
あたしを急かした。
あたしはコートを脱ぎながら、まだ夕方だけどセックスするのかな、と思った。言われたとおりノンちゃんの横に座るとノンちゃんがあたしにキスをした。
「旅行楽しかった?」
ノンちゃんが唇を離して聞いた。あたしはそれに頷いた。
「変な男いなかったか」
ノンちゃんが言うからあたしは
「隣が早稲田の学生だった」
とわざと笑って言った。
「なんで早稲田ってわかんねん」
「ドアのとこに『早稲田大学なんたらサークル様』って書いてあったから」
「ナンパされたんか」
「うん」
嘘だった。
大体そのサークルには女性もいた。
ノンちゃんがどんな反応するか見たかった。
ノンちゃんは
「ついていったのか」
あたしの肩を押さえつけた。
「まさか」
あたしは嫌がる素振りをして少し離れた。
ノンちゃんは壁にもたれたあたしの足をつかんで大きく広げた。
「お前にはなんかあんねん。男をまどわすような何かが・・・」
あるわけない。
だってあたしは全然モテないもん。
けどノンちゃんは真剣だった。あたしの足首をつかむ力が少し強くなったのが分かる。
「その目で見られるとなんか、やばいねん」
そのままノンちゃんはあたしのスカートを捲り上げて触りだした。
多分、あたしは濡れていた。
「ノンちゃん・・・」
ノンちゃんがあたしにまたキスをした。
情熱的なキスだった。
熱が出ていた筈なのに、ノンちゃんはちっとも熱くなかった。
あたしは舌をからめながらカーテンだけでも閉めてもらおうとタイミングを計っていた。