「部屋になら誰もいないぜ」

リュウはため息混じりにそう言ってソファにもたれかかった。

もうする気はないのかもしれない。あたしをさっきから見ない。

「でも、さっきの音・・・」

あたしは言ったけど実際に音のする方に向かって調べる事はしない。

気になっているのはリュウがもうあたしに、正確にはあたしとのセックスに、興味がなさそうな事だった。

急に自分が意味のないものに思えて苦しくなる。

こんな事なら、あのまま身体を許しておけばよかったかもしれない。


だけどもし。

もし本当に誰かがいて。

あたしの足がリュウの肩に乗るくらい開いている所に現れたら。

リュウだけでなくその誰かの相手をしなければならなくなったら。

そう思うとやっぱり出来ない。

怖いのだ。

一人暮らしの男の部屋に入った事なんて何度もあるのにリュウだと怖い。

さっきまでの勢いがどこかにかすむ程、この男がなんだか怖い。


「ごめんね」

悪くなった雰囲気をどうにかする為にあたしはリュウの太もも辺りに手をやりながら近付いた。こうしてしまえばまた始まってしまうのも仕方なかった。

けれどあたしはそのまま手をゆっくり動かしながら

「なんか人が居るかと思って」

と呟いた。

けれどリュウはもうあたしを見なかった。

無視を決め込んで何かを考えているようにも見える。それが余計に自分を無意味に感じてしまう。

「なあ」

言ったと同時にリュウは立ち上がっていた。

「メシ行こうぜ」