体験版今昔物語
十年前の「次世代機戦争」で大任天堂帝国が凋落し、代わって、セガとの激戦を制したソニーが勃興した。ゲーム機の勢力図、そしてビジネスモデルの一大転換期だった。
結果として敷居がグッと下がって参入業者は増え、(クソゲーも増えたが)多様性という花が開いた。「見たこともないゲーム」がたくさん生まれた。
それら「見たこともないゲーム」の中から成功者が出てくるのに、「体験版」が果たした役割は非常に大きかったように思う。メディアがROMカートリッジからCD-ROMに代わったため、安価に「体験版」を配布することが可能になったのだ。
庶民にとってゲームソフトはけして安い買い物ではないため、購入に際して保守的な態度になるのはしょうがない。なにしろPS、サターン登場前夜、スーファミのソフトは軒並み一万円を超えていたのである。海のものとも山のものともつかぬゲームに手を出す者は少なかったろう。最初の広告を見て『海腹川背』買いを決断できる眼力の持ち主は少なかったはずだ。もし、あのときに「体験版」の存在がポピュラーであればあるいは、硬派ゲーマーの期待を一身に集めていたかもしれない。
実を言えば、PS時代に移行すると、私も全く未来を見通せなくなった。他ならぬ多様性のためだ。それを痛感したのが、プレイステーションクラブから送付されてきた一枚の体験版だ。
それは『バイオハザード』という全くノーマークのタイトルであった。ほとんど聞いたことがなかったため「せっかくだし一応やってみるか」くらいの気持ちで始めたように思う。長井秀和がネタにしたように、ろくにまっすぐ歩くことも出来ない操作系に苦笑しつつ進めたのだが、これが面白い。あまりに面白くて、15分の時間制限の中でしか遊べなかったにもかかわらず、何度も何度もプレイした。っていうか、本気で15分でクリアすることを狙ってた。レベッカに『月光』弾かせるあたりで終わっちゃうんだけども。
その後もちろん、私は友人たちに『バイオハザード』を宣伝しまくった。私はPSとサターンの勝負を分けたのは他ならぬ『バイオハザード』だと考えているのだが、振り返るに、あの体験版が歴史を作ったのかもしれない。
時代は移って今。昨日、『ゾイドダッシュ』の体験版をDSステーションでダウンロードしてきた。これはCD-ROMの配布以上に画期的なことだ。メディアを配るわけじゃないし、設置店への集客効果もある。実は昨日初めてDSステーションを利用したのであるが、「策士がいるな……」と唸らされた。PS以上に「見たこともないゲーム」が多いDSで、これは非常に効果的な宣伝といえるのではなかろうか(実情はしらんけど)。
さて、肝心の『ゾイドダッシュ』を体験した感想であるが……
『ゾイドカードコロシアム』のメインターゲット層に訴求するチューニングのゲームである、と今は言っておこう。
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