高校に入学し、僕はテニス部に入った。
クラスではなかなか友達が出来なかったが、部活では
すぐに友達が出来た。
授業は退屈だったけど、放課後にテニスが出来る事が楽しくて
毎日学校へ通っていた。
そんなある日、部活が終わり自転車置き場へ向かっていると、
一人の女の子が自転車の前でしゃがみこんでいた。
ショートカットで小柄な後姿に、少し見覚えがあった。
名前は知らないが、女子テニス部の1年生だ。
隣のコートで練習しているのを見かけた事があるので間違いない。
「どうしたの?」
僕が問いかけると、その子は少し固まった後に戸惑いながら
自転車のチェーンに視線を向けた。
チェーンがだらんと下に垂れている。
細見で小さな手が真っ黒になっていた。