翻訳の仕事の合間に翻訳の話題。
先日仕事で、ある企業Aがアメリカで訴訟を起こされていた問題で、企業Aがアメリカ政府に約うん十億円を支払うことで和解をしたという記事を書きました。
もともとは前の週にアメリカの某省によって発表されていたことなのですが、日本の大手メディアはこぞって企業Aが告発の内容を認めて和解をしたことを某省が発表した、というような記事を書いていました。
すでにアメリカ政府の発表をホームページで読んでいましたし、それらの記事に間違いがあるとは全く思いませんでしたが、コメントをもらうためにA社に電話取材をしました。
するとA社の担当者は、「弊社が(告発の内容を)認めたと報道されていたが、最初から嫌疑は否認してきたし、現在でも認めていない」とのこと。
(和解をしたことそのものや支払う金額は否定していませんでした。)
意外な答えが返って来たので、「え?でも和解したんでしょ?」と心の中で思い、次の言葉に困ってしまいました。
そしてその方は、「もし認めたのなら、有罪ということになってしまいますよね。」と付け加えました。
そりゃそーだな。でもアメリカの某省のホームページでも発表されているし・・・
それで何とか思いついた言葉が、「では○○省の発表が間違えているんですかね?」
心の中で、「間違えているならそりゃ問題だ。でも政府機関が間違えた発表をするのかな・・・」と思い少し腑に落ちませんでしたが、とりあえず電話を切りました。
そしてA社のホームページでも日本での報道の内容を否定するコメントが出ていたので、そのリリースと、日本の複数の大手新聞社の記事と、アメリカ某省の発表記事(英語)を読み比べてみました。
それで某省発表の英語の文をよ~く読んでみたら、日本の新聞社の英語の翻訳または解釈ミスかもしれないことがわかってきました。
英語の文を直訳すると、「A社が他社と共謀して○○したとする訴訟で和解をするために、A社はアメリカ政府に○○億円支払うことに同意した。」という内容でした。
それを日本のメディアは、和解をしたという発表が某省からあったという事実の後に、「(A社が)○○したことを認めたとしている」と書いていました。
でも、元の英語の文には「認めた」という意味のadmitなどの言葉は入っていませんでした。
ここでのキーワードは、allegeという単語だと私は思います。
allegeとは、スペースアルクによると、〔~が事実だと〕断言{だんげん}する、主張{しゅちょう}する という意味を表します。
英語の元文では、... to pay 人 $xxx to settle a lawsuit alleging that ... (<A社が>that以下と主張する訴訟を和解するためにCに○○ドル支払う<ことに同意した>)と書いてありました。
この文からは、訴訟の内容がthat以下を主張する内容だったことは書かれている通りですが、和解に応じたイコール嫌疑を認めたとは言えないことがわかります。
どこにも「認めた」という言葉は出て来ていないのですから。
これは単なる翻訳または解釈ミス?
大手新聞社がこぞって間違えるとは、意外でした![]()
連鎖反応かな![]()
でも大手外資系通信社の日本語版では、「某省によるとA社は○○した(嫌疑の内容)とみられている」とあり、「認めた」とははっきり書かれていませんでした。
訳し方としてはこちらの方がより意味が近いかも。
翻訳って難しいですね~![]()
気をつけないとそれこそ訴訟問題になっちゃいますよね~![]()
私も報道に携わる身として、気をつけようと思います![]()
なんかまた長くなってしまった~![]()
読んでくれる人いるのかな~![]()
あ~またこんな時間~
寝なきゃ~![]()
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今月になってからmixiの日記をこのブログに変えたら、全くコメントが来なくなりました。なんでだろう?
寂しい・・・![]()