ハミルトンが考えた理想のサーキット | RYU

RYU

RYUの気ままブログ   (熱狂的なティフォシです)

ハミルトンが考えた理想のサーキット




~以下記事流用~
ターン1
イスタンブール・スピードパークのターン8(5速、時速260km、5G)
周回の最初は超高速コーナーである。(おそらくグランプリ・カレンダーの中で最長かつ最も肉体的に厳しい)4つのアペックスを持つ左回りのコーナーで、ルイスは6秒間5Gに耐える。長時間の横向き荷重のため、エンジンの300個の可動パーツは非常に大きなストレスにさらされ、ルイスの首の筋肉にも負荷がかかる。ルイスは「このコーナーは攻めなくてはならない」と言う。「最初のアペックスのバンプはマシンを不安定にするので、慎重に位置取りをしなくてはならない。そうしなければかなりオーバーステアになるだろう」

ターン2
マニクールのエストリル(5速、時速200km、3.5G)
ルイスの首は休む暇がほとんどない。次も長い高速コーナーエストリルが待ち構えているのだ。ここはアペックスがふたつある右回りである。ルイスは出口が見えないままギアを5速に入れなければならない。180°に曲がるトラックの路面は波打ち、高速のジェットコースターに乗っているかのようだ。彼は「高速なので、このコーナーではマシンのダウンフォースが大きくなり、トラックに押しつけられるような感じがする。とても楽しいが、次に長いストレートが来るので、よい出方をすることが不可欠だ」と言う。

ターン3
鈴鹿の130R(6速、時速295km、4G)
2009年にならなければルイスはグランプリ・レースマシンで鈴鹿を走ることはできない。しかし、このトラックの恐ろしさはあまりに有名なので、彼はモービル1スーパーサーキットに日本GPのかつての会場からふたつコーナーを選んでいる。130Rは左回りで、半径が130mあるのでこの名がついた。このコーナーはトップギアで全開にするので、エンジンは19,000rpmの限界で悲鳴を上げる。ルイスは滑らかに曲がり、できるだけスピードを落とさないように膨らんで滑らかな出口の縁石を乗り越える。

ターン4
スパ-フランコルシャンのオー・ルージュ(7速、時速295km、3.5G)
130Rのようにオー・ルージュも全開で走り抜けるセクションである。このコーナーは実際には3つのカーブがあり、丘を登りながら左-右-左に曲がる。ルイスは横方向と垂直方向の重力加速度を経験する。ルイスは「これはカレンダーの中でも最高のコーナーのひとつだ」と語る。「難しくはない。でも走っている間中興奮する。丘を登るとコックピットから空が見える瞬間がある。胃が上の方に消えてしまうような素晴らしい感覚だ」 上り坂のためマシンは少しスピードを失うが、このセクションは時速305kmで走れば1秒しかかからない。

ターン5
モナコのタバコ(4速、時速172km、2.5G)
長く続いた全開のあと、ルイスは公道サーキットのこの滑りやすいセクションではブレーキのタイミングを遅らせないよう慎重になる必要がある。タバコは1周のうちで最も遅いコーナーであるが、ルイスのメルセデスV8エンジン内部のモービル1オイルは、マシンよりも速く移動している。ルイスは「モナコGPではダウンフォースを最大にする」と言う。「だからマシンは地面にへばりついているような感じがする。しかしガードレールがとても近いので、ミスをする余裕はない。とても正確でなければならない」 出口にある滑りやすい白線はオーバーステアを誘発する可能性があるので、ルイスは出力を抑える。ここはドライバーの腕前が試される。

ターン6
鈴鹿のターン1(5速ギアで進入、時速255km、3.5G)
マシンは下り坂に沿ってすばやく加速し鈴鹿のターン1に向かう。ルイスはアペックスがふたつあるこのコーナーを目指しながらギアを7速に入れ、曲がるためにブレーキを踏み右回りの最初のアペックスに到達するまえにギアを3つ下げる。ステアリングはロックさせたまま、ルイスは2番目のアペックスに急ぎ、ここでロックを解除して出口の縁石に向かって上り坂を加速する。

ターン7
スパ-フランコルシャンのプーオン(6速、時速260km、4.5G)
スパ-フランコルシャンからモービル1スーパーサーキットに選ばれたふたつ目のコーナーである。鈴鹿のターン1と同じく、プーオンは下り坂のアプローチだが、ルイスはブレーキをかけないまま左回りのダブル・アペックスに入る。彼は自信を持ってアクセルを緩め、ギアをひとつ下げて、そのあとできるだけすぐに出力を上げる。「このコーナーはできるだけスピードを維持しなければならない。つまりできるだけ速くアクセルを踏むガッツが必要なんだ。縁石に接触できないから慎重にならなくてはならない」

ターン8
モナコのカジノ(3速、時速130km、2.5G)
カジノはモナコで最も有名な名所である。マシンはカジノの回転ドアの左側を通り過ぎ、カジノ・スクエアに入ると、先が見えないバンピーな右回りに直面する。ルイスは時速160kmをわずかに上回る程度にマシンを減速し、コーナー進入のためにマシンの位置をトラック中央に移動させる。「ここを走るのは本当に楽しい。なぜならひとつのコーナーが次のコーナーに続くから。ドライバーは休む暇がない」 彼はアペックスの縁石に当たとすぐに出力を抑えるが、出口にあるふたつのバンプを警戒する必要がある。これらはホイールスピンの原因になり、メルセデス-ベンツのV8エンジンに動力が伝わらなくなるからだ。

ターン9
インテルラゴスのメルグーリョ(4速、時速175km、3G)
2008年ブラジルGP最終戦のまさにこのコーナーで、ルイスはティモ・グロックを抜いて5位になり、初タイトルを獲得した。しかしそれは彼がこのサーキットを選んだ理由ではない。ルイスは「これはとてもバンピーな左周りだ」と語る。「下り坂なので、最初予想していたよりずっとスピードが出る。コーナー半ばが狭くなっているので、マシンをターンさせやすい。限界で走っているので、マシンをしっかり制御するには見事なマシンコントロールが必要だ」 クリーンに抜けることが重要である。なぜなら最後のコーナー、コプスに向かってスピードを維持する必要があるからだ。

ターン10
シルバーストンのコプス(7速、時速290km、4.5G)
これもグランプリの最速コーナーのひとつである。ルイスは一点だけでなくいろいろなことに注意を払う。彼は7速でアプローチするが、マシンをアペックスの障壁に向かって走らせる。そう、ピットレーンとトラックを隔てている障壁である。そのため時速273kmのコーナーは完全に前が見えないのだ。ルイスは「ブレーキに触ってはいけない」と言う。「すこしだけアクセルを緩めてハンドルを切り、あとはマシンが曲がることを祈るしかない」と語る。ここでは、風向きがマシンのパフォーマンスに影響を与える。というのも向い風は追い風より、大きな空力学的ダウンフォースを生み出すからだ。「条件がよければ、減速せずにコプスを抜けることができる。でもそんなことはめったにない」

そしてルイスはMP4-23を出口の縁石に向かって全速力で走らせ、スタート-フィニッシュラインに達し、次の周回を始める。彼は明らかに一生に一度の楽しみを味わっている。