イオの討伐① | YSNOVEL

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 ユーリ・ザック、ヒーロ・ハル、シュー・ツカサ、コーヤス・エーイの4人は、士官学校からの同期である。彼らを指導したのは、現在の3大将たちである。いずれもその才能を認められ、ユーリ・ザックはヒート・バックマンの部下に、ヒーロ・ハルはコーラー・ディアスの部下に、シュー・ツカサはアタック・マウンの部下にそれぞれなった。コーヤス・エーイは、主にその戦闘能力を評価され、マリー・ティーチの親衛隊長になった。士官学校を卒業した彼らの初めての戦いは、イオの討伐であった。
 イオの討伐は、木星での宇宙海賊討伐の戦いがその主な内容で、衛星イオとはまったく関係ないのだが、その響きだけでコードネームになっていた。
 当時、地球連合軍の第4艦隊はユーキ・ウノイ大将が指揮していた。イオの討伐には、そのユーキ・ウノイ大将が討伐総指令に任命された。後に彼はその功績が認められ連合府へ入ることになる。イオの討伐では彼の下に、第8艦隊のユーリ・ザック少将、第9艦隊のシュー・ツカサ少将、第10艦隊のヒーロ・ハル少将の3人がついた。3人とも才能をある事件で認められ、若くして少将に上り詰めていた。 

 イオの討伐で派遣された勢力は、約4千隻程度だった。ちなみに、第1から第3艦隊までは、各1万隻と大艦隊なのに対し、第4艦隊から第10艦隊までは各1千隻ほどの小艦隊であった。
 討伐総司令のユーキ・ウノイ大将は、文官としてはエリートかつ有能であったが、武官としては才はまったくなかった。任を出した方も彼が前線に立ったり、艦隊を指揮したりするとは考えていなかった。ただ、責任者として他の少将達をまとめて欲しかったのだ。 
 結果として、ユーキ・ウノイ大将は3少将達を上手くまとめたという評価を受けた。ただそれは、ユーキ・ウノイ大将がなにかと口を出してきて煙たい存在であるという共通認識で3少将がまとまったという裏があった。そうでなくとも、士官学校では互いに競い合ったユーリ、シュー、ヒーロではあったが目的が同じであれば協力を出し惜しみするという愚をおかすことはなかった。
 上官であるが故に、なにかと命令を出したがっていたユーキ・ウノイ大将だがある時をきっかけにすべてをユーリに任せるようになった。
 最初の作戦会議において、主導権を握ったのはユーキ・ウノイ大将だった。彼が示した作戦は、各艦隊で包囲網を作り徐々に海賊を追いこんでいくというものだった。その作戦は以前も何度かとられた作戦で、会議に参加したメンバーは能がない作戦だと内心馬鹿にしていた。包囲網をはってしまうと、4千隻という戦艦数では包囲する壁自体が薄くなり、各個撃破され簡単に突破されてしまう。無駄に戦艦を減らすだけになってしまう。囲んだだけで白旗を揚げるような海賊達ならすでに以前の討伐が成功しているであろう。
 以前の討伐の内、少なくとも一回は愚かな作戦でなかったとユーリ、シュー、ヒーロは思っていた。それは以前の討伐の総司令官がコーラー・ディアス大将であったからである。彼は独自の戦術眼で包囲網の弱点をさらすことなく海賊を追い込んだ。ただ捕獲する際に奇妙なことが起こり討伐は失敗に終わった。包囲網の中心に追い込んだ海賊が、包囲網を縮め目視できる距離にまで迫るとその中心から消えていたのである。その奇妙なことについても作戦立案時に考慮しなければならなかった。
 ユーリ・ザックは考えていた。戦艦の追いかけっこは、この投入戦艦数からするとやはり無意味である。とすると残るは待ち伏せか、海賊船のドックをおさえるしかない。待ち伏せも艦隊数の問題でほぼ不可能だが、ドッグを抑えるのも簡単にはその場所はわからないので困難だろう。すべての条件を満たすことはできない。この討伐には期限もあれば資材の限度もある。だから確率が高くなるような条件を多く選んで積んでいくしかない。もしその条件をすべてかいくぐられてしまったら仕方なしとあきらめるとしよう。そう覚悟するとユーリは、ユーキ・ウノイ大将の作戦を補足説明するという形で彼の面子を保ち話し出した。