目の前に恐怖が降り立つ。
私は急遽生存本能をフル稼働させ、どうしたら生き残れるかを脳の髄を搾って考える。
そして火事場特有の奇策が脳内で閃く。
「すみません、これつまらないものですがほんの気持ちです。」
落ちてた草を広い上げ、差し出す。
ドラゴンは肉ばかり摂取しているイメージがある。
野菜も食べないと病気になるだろうに。そう私なりに気を利かせたつもりだ。
数秒の沈黙の後、炎のブレスで気持ちばかりの品は激しく燃える。ついでに私も燃える。正直火耐性は低いのでやめてもらいたい。あと息臭いっす。ブレスケアしようぜ。
どうやら差し入れが気に入らなかったらしい。「やや、丁寧にどうも」といったような素振りすら見せずに、私の気遣いを煽りと受け取っている様子だ。
ドラゴンはこちらを睨み息を吸う。
死ぬのか?
淡くちらついていただけの色のなかった死という概念が途端に現実味を増す。
死神の手がこちらを笑顔でこまねいている。
緊張と恐怖で指一本すら動かない。
目を瞑り、死覚悟した瞬間…
「これはクリ〇ンの分だ!」
遠くにいる勇敢なモブ衛兵が気後れせずに弓を絞る。
私には何の事だか知った事ではないが、何かしらの恨みがあったのだろう。何故か髪の毛が金になり、金色のオーラまで纏っている。
矢は標的のドラゴン目がけて那須与一よろしく一直線に全くぶれずに飛んでいく。
まるで主人公補正がかかっているかのようだ。
恐らくこの力強い矢は外れはしないだろう。根拠は無いが確信があった。
……ところで話は変わるが私はドラゴンとモブ衛兵との中間地点にいる。
まあ、そうなるよね。
そして虚しく私の生命活動は停止。死んだのだ。
Bad End…

