学生時代、サークルで土日はいつも山に登っていた。女性が半分ほどいる6つの大学からなるサークルだった。今もその仲間との交流がある。
新宿23時55分発の中央線で谷山岳に向かう時、駅の構内を登山靴で仲間と歩き、いつも駅員に事情を話し、改札口を抜け、夕食に行っていた。そうした行く前から帰って来るまで、すべて私にとっては特別な時間だった。特別な時間だったからこそ、何年経ってもその仲間と会えば親しく話ができるのである。
私がチーフリーダーで北アルプスの常念岳に登った時、1年生の女性が「青春」という名札のようなアップリケを作ってくれ、パーティーの仲間で胸にクリップで止めて山行を行った。その「青春」は常念岳に無事登頂した後、頂上にある祠に納めてきた。後で聞いたのだが、その後しばらく、常念岳のチーフリーダーは祠に何かを納めていたのだそうだ。
今はもう山に登ることもなくなった。だが、あの頃の特別な時間のことを思い出すと、私は今も胸がキュンとなるのである。