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「月に吠えろ・萩原朔太郎の事件簿」が面白かったので、図書館で見つけた鯨洋一郎の作品を読んでみた。stormy blueを辞書で調べてみると、嵐のような青とあった。作者の鯨洋一郎は精神科の医師である。人の心の中にあるblue、つまり憂鬱が嵐のように訪れる、そういった心理状態になる犯人が主人公の推理小説である。

多重人格の女性が不倫状態に入った時に、夫と息子を殺しても不倫相手と幸せになろうとする深層心理が突然のように女性を支配し、殺人を犯してしまう。その事件を発端に次々と関係者を殺してしまう犯人の女性は生理になると多重人格のもう一人の自分が現れるという。女性の生理がそういった犯罪をひきおこすのはあまりに残酷で、推理小説の中でも特異な分野に属するモチーフだ。

犯罪というものを扱っている作品ながら、人間の深層心理は子供の頃の体験に影響を受けることが多いとはっきり示唆している。「月に吠えろ・・・」は短編小説であり、小気味良い面白さがあったが、このストーミー・ブルーは初期の作品らしく、また異なった面白さ、つまり人間に対する深い興味といったものを作者が追求していることをよく表現していると思う。

と、ここまで書いてきて「月に吠えろ・・・」は鯨統一郎であり、「ストーミー・ブルー」は鯨洋一郎であることに今気づいた。統一郎と洋一郎は別人である。ブラウザをもう一つ立ち上げて調べてみると、洋一郎は先にも書いたように医師で、昔の大洋ホエールズのファンらしい。そこから鯨洋一郎と名づけている。私の勘違いでした、両鯨先生、すみませんでした。