リーマン破綻等で先が読めない米国経済の状況のなか、金融商品に時価会計を義務付ける米国会計基準(US GAAP)がこの基準を停止するのではないか。ただ、その場合、会計指針を特定業界の都合が良いように改変するのは、いわば犯罪者が法律を犯罪実行後に変えて無罪にするのと同じことになるのでは…と議論されている今日この頃。結局、米国の金融支援法では時価会計の適用停止は置かれなかったようで。

ただ、米国の会計基準を定めるFASBは、時価会計の停止という劇薬というか自殺ではなく、時価会計で問題になる「時価」の定義、解釈を緩めることにしたようです。2008/9/30 FASB157号報告で以下のように修正しております。しかも、Q&A方式で。

そもそも、この「時価」とは以下の基準で出されており、今回のサブプライムは市場崩壊前は当然、取引が活発であるレベル1かせいぜい2。要するに時価=取引価格だったので問題はなかった。

しかし、サブプライム崩壊で、売り手の呈示値段に過ぎず、買い手が不在になり、

見る間にレベル3、客観的に価格が出せなくなりました。


公正な価値の算出基準
レベル1 測定日に観察可能な同一の資産または負債の取引が活発に行われる市
場での価格を採用 上場株式、商品デリバティブ、指数取引等
レベル2 直接または間接的に観察可能なデータのうちレベル1に入らないもの
デリバティブ商品の中でLIBOR等を組み込んだもの
レベル3 客観的に観察不可能なもの 非上場株式、無形資産等


サブプライムで問題になったのは、レベル3になったとして、ただ、底値で売買されている場合、レベル3で認められる「時価の将来収益での計算」でよいのかそれとも取引事例なのか。FASBは以下の回答で実質、現在の取引価格を考慮しなくても良いという方向のようです。

金融安定化法 時価会計停止 
「市場に時価が存在しない場合、将来CFなどを利用して会社側想定で計算して
もよいか」
→使ってよい。適切なリスクプレミアムを加えたCFを用いた算定は許される。
 公正価格の決定はさまざまな判断を必要とする。

「市場の混乱による、正常でない取引の価格は公正価値を算定する際の参考とな
るか」
 →正常でない取引の価格は公正価値を算定する際には決定的ではない。
  ただ、取引が正常でないかどうかの判断は必要

「活発でない市場における取引は時価算定に影響を与えるか」
 →影響は与える。但し、活発な市場における取引価格は、公正な価格を代表す
るものとして、参考にされるべきであるが、活発でない市場における取引価格は
公正な価格を測定する際の1つの情報にすぎない。活発でない市場での価格と類
似資産の価格が一致していなければ調整が必要

さて、この判断、吉なのか凶なのか。

個人的には、恣意性が入りかねないDCFでの算定はより一層、危機への不振を呼びそうな気が。算定する場合、恣意性が入らないようにするためにいろいろ工夫が必要な気がします。


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