バッハの調べにのり
運ばれるは、毅然たる貴公子
まだ見ぬ花嫁は城のなか
期待と不安がよぎり
つのる心は早馬の如く駆け巡る
街道の民は祝福し、新しき王を待ち望む


だが、ドレスデンは遠い
向こうに見えるは城なれど
行くほどに遠ざかり、望むほどに消えゆく
幾夜、日が暮れど、着く宛てのない城なり

 

夢見るレナンは時の世界の人
花嫁は時の消え失した世界の人

橋渡しは、死のみ