渡海「飯沼達次はどこにいる?ちなみに教授の心臓まだ完治してませんから。応急処置しただけだから…

再手術が必要、オペが出来るのは私だけ。」

佐伯教授「命よりも大事なものがある」そして外科学会に出席するために無理を押して東京に向かうと言う。

 

木下は渡海に、もう飯沼さんを探さなくていいのかと聞いた。

渡海は検討は付いていると言う。木下は渡海にもう協力しないと言った。

渡海「その患者が医療過誤に関わっていても…か」

木下「医療過誤は…絶対に許しません」

渡海は木下に詳細を話す事に…。

 

藤原師長に佐伯教授は「飯沼さんの手術を出来るのは私だけだ。留守の間、よろしく頼むよ」と伝えた。

 

西崎教授は相変わらず腹を立てていた。「池永も、高階も私を裏切りよって!許せん!!」

 

佐伯教授は自分が留守の間、東城大の責任者を高階に任せた。

高階は渡海が佐伯教授を信じるなと言っていた事が気になっていた―。

 

飯沼が胸を押さえて苦しみだした。

花房は急いで藤原師長に連絡をした。止血剤を使うよう指示された。

佐伯教授は自分が処置すると起き上がろうとするが「今はあなたも患者なんですから!」と藤原師長に制止される。

高階が適切に処置をしたが、藤原師長は高階に飯沼のデータを見せようとしない。

 

その頃、世良は渡海の父親の事を調べようと渡海の母・春江を訪ねた。

春江は父・一郎の事を「患者に親身になって接する普通の医者だった」と語る。

渡海の部屋には、手術練習の糸結びがびっしりとある。

 

渡海は一人、父親を思い出していた。

「おまえはそのままでいい。普通の医者になれ」

 

理事長選の翌日。佐伯外科の食事会が開かれる。

佐伯教授も出席している。佐伯教授は世良に「渡海を見張れ」と指示。

 

その後、佐伯教授は倒れてしまう。

渡海が処置をした時、「今は生かしておいてやる お前の地獄はまだ先だ」と呟く。

 

その後、渡海と世良は同室で休憩していたが、世良が眠ってしまい、その隙に渡海は部屋を出て行った―。

 

翌日。渡海は飯沼の病室を訪れる。

高階が病室に駆け付けた。

「あなたの手術をした佐伯教授は胸にペアンを残した」

渡海の言葉に困惑する飯沼。

渡海は高階にレントゲン写真を見せた

高階は驚愕した。

 

渡海「俺の親父はこの医療過誤をなすりつけられた、全ての根源であるペアンを取り出す。今日全て終わらす」

 

渡海は飯沼のオペを始める。

 

藤原師長が気付き、オペ室に止めに入ろうとするが、木下が制止した。

 

渡海、高階、猫田によるペアン摘出手術が始まった。

 

理事長選会場では、西崎教授の研究発表演説が始まっていた。

 

飯沼の胸にはペアンがあった。

 

ペアンを取り出そうとした時―。

出血が始まった。

必至に処置をし、出血は止まったが…

 

花房は高階から「教授の患者を無断で手術するんだ。君は優秀な看護師だからこのオペに加わる事は出来ない」とオペ室から出る事を託されるが「私が任された患者さんです」と手術に入った。

 

高階「だいぶ癒着が酷いな…」

渡海「年代物だからな…」

 

「止めろ、ペアンを外すな」

佐伯教授が世良と共にオペ室に入って来た。黒崎にドクターヘリを手配させて来たのだ。

 

その頃、、佐伯教授の代理で黒崎が理事会で演説をしていた。

 

佐伯教授「患者の命のためだ」

渡海は佐伯教授の制止を振り切った。

「お前が守りたいのは、自分の権威だけだろ。

俺に詫びろ!そして、親父にも詫びろ!!親父が全てを失ったこのペアンで、今度はおまえが全てを失うんだよ!」

 

渡海がペアンを取り出した。

「さよなら 佐伯清剛」

すると大量の血が渡海の目の前に飛び散った。

何度縫合しても一向に出血は止まらない。

佐伯教授「地獄の扉を開けたな。どけ渡海。私が処置をする」

渡海「俺に治せなかったものをあんたが治せるわけがない」

 

手術が佐伯教授に代わった。

佐伯教授「このペアンは置き忘れではない」と全てを語り出した。

かつて、飯沼達次の処置をした佐伯教授は、他の医者の助けを得られず、出血を一人ではどうしても止められず、他に方法はない。とやむを得ずペアンを置いたままで処置を終えた。

そして退院した飯沼達治は、佐伯教授が海外に行き不在中に再入院。そのとき処置をした渡海の父・一郎がペアンを発見。

一郎は佐伯教授がペアンを置いた事情を察したが、ペアンが映ったレントゲンを黒崎に見られてしまい、医療過誤の疑いが掛けられた。

医療過誤疑惑は一郎が一身に受け東城大を去った。

佐伯教授の帰国後、一郎は亡くなっていた。

一郎は佐伯教授に手紙を残していた。

「人を救え。飯沼さんを救え。君に全てを託す」

佐伯教授「医療過誤という不名誉を背負ってこの世を去られた。これが真実。私は渡海一郎先生に生かされたんだ。自らの腕を過信する者にこの患者は助けられない。この患者だけは死んでも守る」

 

「ブラックペアンは私への戒め。医師は完ぺきではない。おごることなく、日々その腕を研鑽しつづける覚悟の証。それを使うのは私だけで十分。私はこのために生きてきたんだ。そしてそれも今終わる」

 

「ブラックペアンを使う時が来た時、それは私が外科医を辞める時だ」

 

佐伯教授「ブラックペアンを」藤原師長からペアンを受け取った。

 

「さらば、渡海一郎」

ペアンを体内に埋め込んだ。

 

佐伯教授「このまま閉胸しろ。特殊なカーボンで作られているからブラックペアンはレントゲンにも映らず、火葬をしても残る事は無い。

教授命令だ」

 

佐伯教授「医者は完ぺきではない。まだまだ我々には出来ないことが有るんだ」

 

手術を終えた佐伯教授は倒れてしまう。

 

理事長選会場では、黒崎が演説をするが、佐伯教授がいないことに理事たちは納得がいかない様子。

池永の話が始まり、昨夜、佐伯教授と話した事を語った。

「私の命はもう私一人のものではない。医者というものは謙虚でいるべきだ。最新の技術、最高の腕、その二つが欠けてはならない。」

佐伯の思いを代弁する池永に理事たちからは拍手が起こる。

 

倒れた佐伯教授の手術は高階が執刀するが、うまく行かず心停止。

 

その頃、真実を聞いた渡海は居た堪れない様子で病院の外にいた。

一方渡海は、世良からの留守電を聞いていました。そこから倒れた直後の佐伯の最後の言葉も聞こえてきた。

「渡海・・・そのままでいい、普通でいい。医者は患者の事だけを考えろ、救え渡海、ただ人を救え、お前に全てを託す」

 

オペ室は静寂に包まれている。

 

「まだ終わってません!!」

涙目になった世良が力強く言い放ち、渡海を探しに行く。

 

廊下を歩く渡海の姿があった。

 

世良「渡海先生…」

渡海「邪魔」

 

いつもの渡海の声だった。

 

渡海に執刀が代わり、心臓に電気ショックを与える。

渡海「こういう時の声届くぞ!声かけてやれ」

「戻って来い!!」皆は叫んだ。

 

佐伯教授の心臓が動き始めた。

 

一方、理事長選の結果は…

一票差で佐伯教授が当選した。

 

西崎教授は今までとは顔つきが変わりで潔く良かった。

「研究だよ。研究。それが医者というものだ」

 

目を覚ました佐伯教授。そこには渡海がいた。「どうして助けた?」

佐伯教授「東城大にお前を呼んだのはせめてもの罪滅ぼしのつもりだった。私を恨むことで腕を磨き続ける。私はもっと見てみたい。そう思った。お前の望み通り死んでも良かった」

佐伯教授「そのままでいい、普通でいい・・・」

渡海「医者は患者の事を考えろ、ただ人を救え。俺の尊敬する医者の言葉です」

瞳を潤ませた渡海は頭を下げ、病室を後にした。

その言葉に涙する佐伯教授。

 

廊下で世良と会う渡海。

世良「出ていく気ですか?」 

渡海「誰かが責任を取らなきゃいけない」

世良「僕はまだ教わらなきゃいけない事たくさんあるんですよ!今まで死に物狂いで頑張って来たのに…

いいんですか一億円は?借りがあります。まだ何も返せてない。僕の事もっとこき使って命令していいんで…行かないでください!」

渡海「分かったよ。腹減った。とりあえず米炊いてこい」

 

駆けて行く世良を見送る渡海。「じゃあな。お前はいい医者になれ」

 

渡海が去った後―。

 

佐伯教授は理事長になるが、必要な組織改革を行った後、理事長職を他の大学の教授に譲り、医師たちの育成に勤しむ。

帝華大の西崎教授は相変わらず理事長の椅子を狙い、新たな研究開発に力を注いでいた。「インパクトファクターが欲しいんだよ!インパクトファクターが!!」言い方が思わず笑ってしまったが…(笑)

高階は佐伯教授と西崎教授の教えを引き継ぎ、最新医療を取り入れながら佐伯外科で研究に力を注いでいる。

世良と同じように高階は時折寂しそうな顔をしているという。

 

花房と木下は渡海の使っていた仮眠室で卵かけごはんを食べていた。

木下いわく、渡海は大金を医療過誤支援団体に寄付していたという。

 

先日、振り込み人不明の大金があったという。

その額は「一千万」。

 

「邪魔。一千万でもみ消してやるよ」