673号 久しぶりに人事・採用の話...3 | 求人広告屋が語る・・・

673号 久しぶりに人事・採用の話...3

673号 久しぶりに人事・採用の話...3
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■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2011/10/13(673)━

久しぶりに人事・採用の話...3

こうなると、「結果」しか求めない人が会社にドバドバと入って
くることになる。
すると、今までの文化や人事評価考課基準なんてぶっ飛ぶ。
抵抗するヤツは処分。

そんなことが起きている大企業はザラだ。
社員の年齢構成が歪でオッサンばっかりの会社。
突然、外国人経営者が来てメッチャメチャにリストラされた会社。
会社の存亡をかけて!と言って設備投資しまくったプロジェクト
ごと社員もろとも他社に売却してしまう会社。
そんなことが、当然に日々起きている。大企業で。

さて、大企業の新卒採用の効能が減っていくのは明確であると
いうことを明言したが、結論は何が言いたいのかというと新卒採
用ではなく、中途採用がメインになるべきだと言いたいのだ。
一回でも就職したら中古(中途)になるんだから、中途の方が
人生が長いんだし、さっさと中途採用至上主義になればいいと
本当に思っている。

話が重複するが、他社から経営層が入ってきて、その担当役員は
結果をコミットメントすることで自分の立場を維持することにな
る。つまり、既存の社員が「役に立たない」と判断すればサッサ
と処分する。当たり前である。そして、そんな組織がド素人の
新卒採用を行ってチマチマと教育していく時間があるだろうか?
ある訳がない。
当たり前の話である。

この話をするとブチ切れる大学生がいるが、そんなこと言ってい
る場合ではない。
例えば、ヨーロッパ系証券会社に新卒で務めた人の実話だが、
入社したら、まず渡されたのがゴミ箱だけだったそうだ。
机も椅子もない。ゴミ箱だけ。
そして、配属のチームを教えられてそのチームに行くと、周りの
人たちは猛烈に仕事をしているだけ。
何か手伝いましょうか?と言っても無視されるだけ。素人の手を
借りたり、教えている時間がもったいないからである。

これが現実の世界だ。
ネチネチと教育してくれる日本企業は絶対に無くなる。しつこい
が企業の株主総会で、株主は経営者層に「コミットメント」を
求める。そして、経営者たちは社員たちに「コミットメント」を
求める。社員たちはアルバイトたちに「コミットメント」を求め
る。そして、約束違反、つまり嘘つき経営者には処分が待ってい
る。それは、社員にもアルバイトにも連鎖するのだ。
これは事実だ。そんな社会に日本もなった。
いよいよ、社員も外注と同じという時代が本当に目の前だと思う。

では、そんな時代に新卒たちはどうすればよいのか。
企業の人事部はどう変貌していくだろうか。



大学生たちに言いたいことは、学生のうちに「社会人と同じ対応
を求められる職場」でアルバイトをたくさんすることをお勧めす
る。
そこで身につけてほしいことは3点だけ。

1)自分には何の仕事が「向いていないか」を知る
※アルバイトの時に「向いていない仕事に就けた」のはラッキー

2)どんな上司が嫌いなのかを知る
※嫌いな上司が判明すればアルバイト時代に接し方を訓練できる

3)言動が一致していて「私はどうすべきか」を教えてくれる人
と仲良くなる
※この人は長く付き合ってもプラスになる人(人脈になる)

この3点を学生時代に少しでも身につけられれば非常に強い。
この3点は一生涯に訓練し続ける必要のあるスキルだからだ。
昔から私が言い続けていることだが、

・職種は5万職種ある ※現在はもっとあるかも・・・

・1職種に何万社も世界中にある

・自分の得意(適性)職種なんて、10代・20代では判明でき
ない

ということは、一回の就職活動でベストな企業に勤めることは
天文学的な確率になる。
要するに不可能だ。
こういうと、大人はこう言う。
だから、たまたま就職した場所を聖地と考えてそこでずーっと
頑張ることが大切だ、と。
これは、言っていることは正しいが、真に受けたら愚かだ。
なぜなら、

・会社側はずーっと働いてくれることを期待していない
※年を取って仕事もしないのに給料が高くなる前に辞めて欲しい

・会社側の都合(例:倒産)の可能性を盛り込んでいない

からだ。
何度も言うが、雇用は契約行為である。相手がNOと言えばそれ
で終わりだ。
双方合意あって成り立つのである。
企業側が雇用を守ることは義務じゃない。
そんな義務がそもそもあるなら、雇用期間の定めのある雇用契約
(期間従業員)が存在することの説明がつかない。
雇用期間の定めのない一部の社員の雇用を長くする(俗にいう正
社員)ために、期間従業員(俗にいうパート・アルバイト)が存
在するのである。
この事実を見るだけでも、企業に雇用を守る義務は無い。雇用を
守るかのようなことを言って、モチベーションを高くして安い給
料で高い仕事の結果を出そうというテクニックでしかない。

だから、企業が学生の為に何かを考えてくれたり何かを実施して
くれると期待をすること自体が100%無駄である。それは、
お金を払って学校に行くべきだ。
企業からお金を貰いながら期待するのはオカシイ。
とにかく、企業は何もしてくれないし、社員のことには興味が無
い。
人事部の人が興味を持っているという人もいるが、それも職務で
行っているだけであって、どうせできる範囲でしか動いてくれな
い。
もう一度言うが、企業に期待するのは100%無駄である。
企業は社員の為に存在するわけではないのである。

実は、これを理解した社員の人は、自分自身の本当の能力を向上
させて(会社を辞めて)社会で通用するようにと考えだす。
すると、面白い。
そういう人は、出世(社内で昇格昇進)するのだ。
もし、そういう人が出世しない会社は、どうせ潰れる(既にウソ
がまかり通りだしている会社になっているだろうから)。

なぜなら、会社は優秀な社員には辞めて欲しくないからである。
外部役員が跋扈する昨今においての「優秀」とは、社会的な基準
としてである。要するに社内で優秀なんて基準は価値が無いこと
を外部役員は解っている。
社外でも通用するような、つまりは他社の人材と比べて優秀な人
を残したいのが企業側の考えである。
辞めて他の会社に行かれそうな社員には辞めて欲しくない。
そして、そういう社員ほど、他の会社に行けるような訓練と準備
を徹底的に行っている。
辞める前提で頑張っている人ほどクビになりにくいのだ。

だから、私はその会社でずーっと頑張れなんてことは言わない。
「ずーっと」という概念は昨今の人材市場の中では死後だと思う
べきだろう。
したがって、大学生の人たちは、一回の就職活動で成功しような
んて無茶苦茶なことを目指さずに、長く働くつもりを持たずに就
職しようと思えばよい(でも、そんなことを面接のときに言った
ら採用してもらえないので気を付けよう)。

一方、企業の人事部側はこんなセソウの中でどうすれば良いか。
これだけ不景気だと保守的な人材しかできあがらないし、現状の
企業運営では昔のような人事制度を維持することも不可能である。
では、何をすれば良いか。

1)採用ブランドの向上
※企業ブランドではない。就職したい希望ランキングの話

2)正社員比率を強烈に下げる
※非正社員に権限移譲を徹底して行う。非正社員層が働きたいと
思うような構造を自分たちで作らせる。つまり、正社員の方が上
だという思想は完全に潰す

3)正社員には徹底した思想教育を強いる
※軍人のように「上官の言うことは絶対」というような感じでも
良いと思う。

4)非正社員の人材の入れ替えや色々な働き方を良しとする
※退職、再入社、中途採用、なんでもOKとする。また、個人事
業主としての勤務や、他社兼務もOKとすべき。そもそも、パー
トタイマー勤務は過酷な労働環境下でも退職率が下がらない方法
として、3勤1休をベースとしている(4日目に辞めそうになる
前に休みにするというパターン)。つまり、他の会社にも務めさ
せることで、ストレスが下がる。奴隷は主人を2人持つと解放さ
れると昔から言うではないか

以上が私の考えだ。
人事制度なんて、社員モチベーションが下がるような内容では
意味が無いし、そんなものはストレスの大きな職場の人たちに
決めてもらうべきである。
人事部が決めて「はいそうですか」で浸透するわけがない。
だから、そんな人たちが他部署や上層陣との折衝はできないので
人事部の人たちが行えばよいと思う。

そんなの急には無理だよ・・・という人事部の人も多いだろう
と思う。しかし残念だが、昔と同じような人事の仕事は存在しな
いし、今後も生まれてこない。ビジネスのほとんどが、正社員で
ある必要性をことごとく排除し、社員管理も昨今のクソみたいな
低報酬では不可能に近い。更には、不景気からくる株主からの強
烈なオッツケで、経営者層は完全なウツ病であるから、ほとんど
の会社が暗い暗い。
「ガンバロー!」って恥ずかしくて言えない企業がほとんどだ。
だから、潰れるのだ。
そんな会社を変えよう!と思うこと自体、無駄である。
変わるわけがない。
変わった人(変われた人)だけ残せばよいのだ。
変わった人(変われた人)だけ残るような場所にすればよいのだ。
そして、その人たちを基準にしたコンフォートゾーンにすれば
よい。
弱者中心に見るのではなく、強者中心に見る。
そう言うと、そんなことをしたら社員がどんどんやめて、会社が
成り立たないという人がいる。
それは間違いだ。

・全員が一気には辞めない
・辞めても大丈夫なようなビジネススキームにすることはリスク

ヘッジの話なので、この際、クリアした方が良い
と考えるべきである。
特殊な技術を要する職種でない限り、派遣・請負会社・コンサル
会社を駆使すれば、全く問題なく今の社員をクビにしまくっても
会社は持つ。
これは本当の話だ。
私は業務コンサルティングとして、企業に入ってコンサルを行う
だけでなく、事業部の売買(M&A)も同時並行で行うことがあ
る。まともな買収監査(デューデリ)を行えば、

・誰だけを、いつまで残せば何とかなるか

なんてスグに解る。
社員を守れば企業が守れるなんていうのはウソである。
だから、人事部の人たちも「人材」という切り口で会社が伸びる
ための施策を明確に提案できなければ存在価値が無い。
人事系のコンサル会社に勝てないだろう。
私のような人事・システム・財務・M&A・営業を理解した実務
屋がコンサルに来たらヒトタマリもないだろう。
社内の人事制度に詳しいからって、戦いにならないと思う。
ある意味、人事部の人たちも会社を辞めるつもりで頑張った方が
良いと思う。

次号に続く

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