ストーリーの途中ですが 夏色の少女の話をしたいと思います 

 

よろしくお願いします     
 

  なっちゃん  (夏色の少女)
 

「子供の頃の話しなんだけどね 夏休みに不思議な女の子と出会ったのよ」  

お盆休みで 実家に帰省する車の中で   お母さんが子供達に話して聞かせました  

 

ある年の夏休み  いつの間にか皆と一緒に遊んでいる 不思議な女の子がいました 

 

「 あなた どこから来たの?」  そう聞かれると

 

「 あっち 」 と言って 神社がある森の方を指さしました 

「名前は?」 と聞かれると 

「 …夏…… 」 と答えました 

「 じゃあ   なっちゃんだね 」 その日から みんなに   「 なっちゃん 」 

と呼ばれるようになりました  

 

なっちゃんに何か聞いても 

「 あっ」 とか 「 うん 」 とか言うだけで ほとんど喋りません 

でもいつもニコニコ笑って とても楽しそうに遊んでいたので 

誰からも好かれていました  

 

「 なっちゃーん こっちで一緒に遊ぼう 」 とか 「 今日は土手まで行ってみようよ」

とか 毎日あちこちから誘われて   皆の人気者になりました   そしてお盆の 8月15日 

「 今夜は盆踊りがあるんだよ なっちゃんも来るよね?」 と誘われると 

「 うん ^^ 」  と嬉しそうに答えました

 

いつも涼しげな色の服を着て  帽子を目深に被っているなっちゃん 

その夜は帽子を脱いで  花の髪飾りを付け 浴衣を着て来ました 

 

  

 

「 あれ なっちゃんなの?誰かと思った カワイイ 」  皆から褒められ 

とっても嬉しそうに笑うなっちゃん   踊りも凄く上手で

ずっと笑いながら 最後まで踊りきりました 

 

「 凄いね  踊り 上手だね 」   大人達からも拍手されて 

ちょっと照れくさそうな  なっちゃん  満面の笑みで 放った言葉が 

 

「 皆の衆  共に踊ってくれて嬉しかったぞよ    我は堪能したのじゃ 

今年は豊作になるぞえ 」  そう言うと スッと消えて いなくなってしまいました 

 

次の日からも 姿を見せる事はありませんでした 

その年は 本当に大豊作になったので 

「 なっちゃんは 神社の神様だったに違いない 」

 

 皆は口々にそう言い合いました 神社の名前が 【夏色 (ナツキ) 神社】 だったので  

 

同じ字をあて【夏色 (ナツイロ) の少女】とも呼ばれました 

 

「 なっちゃんがいなくなった次の日からね   友達とあちこち探したんだけど 

全然見つからなくてね  最後は皆で泣いたのよ 本当に悲しかったわ 」  

「 ふぅ〜ん…ねぇお母さん 私達はなっちゃんに会えるかな?」  

「 そうね 会えるといいわね ^^  着いたら神社に お詣りに行こうか 」  

「うん 行く行く  私 なっちゃんと友達になりたいもん」   「私も!」

 

本来 お盆と神社は無関係だと思うのですが   あまり人が行かなくなった神社の

神様って 賑やかな盆踊りの音を  聞いた時 どんな気持ちなんだろう?

羨ましかったりするのかな?と思ったのがきっかけで 

今回の短編ストーリーを書いてみました  

 

踊りが好きで   皆と一緒に踊ってみたいけど 機会がない…  

「 いきなり行ったら怪しまれるかも  言葉はどうしよう 」   色々考えた末 

「 先ずは少女として  皆にに受け入れてもらおう 」  

それが なっちゃんの出した答えだったのです    

 

 

後日談   神社の神様が踊り好きだと分かったので   次の年からは 

神社の近くで 盆踊りをするようになりました   

 

秋祭りは それまで踊りはやっていませんでしたが   神社の境内で 

奉納の大踊りをするようにもなりました   踊っていると たまに

ポワ〜っと光る物が現れる年があり その年は決まって豊作になるので 

「 今年はなっちゃんが来た!」   と言って 皆で喜び合いました 

今でも盆踊りと秋祭りを盛大につとめ   神社を大切に守っているそうです

                                                                                                     

                                                                             おしまい