この間,岡山商科大学の税理士特設講座に

出席し発表をしてきました。

 

内容としては,

相互売買か交換か??で問題となった裁判例

がありましたので

その裁判例を分析しました。

 

問題となった取引をご説明しますと

とある地上げ業者がある不動産の取得を希望し

ある親子に買取をしたいと申し出ます。

その親子は最初はいやだったのですが,

その地上げ業者が

付近の不動産の地上げもしており

周辺の環境が悪化してきたので

代替となる不動産が手に入って,

税金のことを考えても損をしないのであれば

売却してもいいよ!となりました。

 

そこで,

親子が持っている不動産を売却する一方で

地上げ業者が持っている不動産を売却し

それぞれの売却代金を相殺すると

親子がもらうべき売却代金に足らなかったので

地上げ業者が差額を小切手で支払った

という事案です。

 

親子は,契約で決められた売却代金について

所得税を計算し申告したところ

税務署が上記二つの契約は別個の契約ではなくて

1つの交換契約であると認定し,

地上げ業者が売却した不動産は

当事者が決めた売却代金よりももっと時価が

高かったこともあり

税務署が

親子はもっと税金を支払わないといかん!!

とした事案です。

 

複雑ですが,親子としては,

不動産の交換契約とするよりも,

売買契約が2つ成立したとした方が

税金が安くなるんですね。

(売却価格は自由に決められますからね)

 

この事案について

東京高裁平成11年6月21日判決は

1つの交換契約ではなく

2つの売買契約であると認めてくれました。

 

この事案について,

税務署ご出身の税理士の方は

否定的でしたが,

租税法を勉強していると

裁判所も

当事者が知恵を振り絞って行う節税自体は

否定していないと考えます。

 

しかし,節税をやり過ぎると,

その行為が否認されているなという雰囲気です。

 

節税をしたい場合は,

税理士ないし弁護士にご相談を!!