観察された多くの運動系の習熟過程を比較すると、運動が新たに発生し、段階的な順序性が示されると言われている。

 運動習熟の段階(この言葉いいのか?)を「位相」と表現している。位相と言うと、周期性があるような・・・。

 運動学では3相あり、各位相において運動学習過程の特徴を次のように表している。

第1位相
 粗形態における基礎経過の獲得:運動の粗協調
第2位相
 修正、洗練、分化:運動の精協調
第3位相
 定着と条件変化への適応:運動の安定化

 粗いが何とかできるようになり、洗練され、定着と3段階(位相)の順序を踏んで、運動を習得することになる。

 この順序が、大切なんだよね。

 成功から、定着までが短ければいいのだけれど。「個人差」があり、同一学年の全員が一律に上達するとは言えない理由もここにある。

 各年代のレベルにおいて、習熟度が決められるのだろうか?

 まさか、小学生(低学年、高学年)、中学生、高校生、一般で、一つの習熟位相とは言わないよな。きっと。

第1位相

(1)運動を理解すること
 初心者が運動を理解するためには、1)~3)を行う。
1)示範を見る
2)説明を聞く
3)実際にやってみる

1)~3)により、理解が深められ、学習者は正確な運動をみることができるようになるという。(マイネル)

(2)粗協調
 学習者が、何とか初めて「成功」したとき、非常に大雑把で、欠点だらけな運動であるが、無秩序な運動ではない。
 この状態で、成功/失敗を繰り返しながら、1つの「まとまり」が形成される。

(3)意識化による分裂現象
 「まとまり」ができない、または、できたばかりの段階で、「意識的に」運動を内側から観察することを強要したり、言語指導によって、運動を修正しようとすることは避けなければならないという。

 運動課題をこなすのに、いっぱい、いっぱい、なんだし。
 むしろ、そこまで「努力」したことをほめてあげなければ、いけないんじゃないか。
 (マインド・セット)

 この段階で、明瞭に意識化させようとすると、運動は容易に「分裂」してしまうのだと。
 情動的な問題が絡むこともあり、学習者の落胆も手伝って、再統合しにくくなることがある。

だから、出来るか出来ないかの時期は、慎重に「見守る」ことが必要なんだね。

 次回、第2相へつづく。

(引用文献)
金子明友、朝岡正雄:運動学講義、大修館書店、1990
(参考文献)
C.S.ドゥエック:「やればできる!」の研究、草思社、2008