横に立つケアマネ論

横に立つケアマネ論

25年のキャリアで見出した、ただ「横に立つ」という支援の形。
利用者が眺める景色を、同じ向き、同じ温度で見つめながら、共に悩み歩むプロセスを大切にしています。
制度の枠を超えた「本来のケアマネジメント」とは何かを、現場の息遣いと共に綴るブログです。

ケアマネジメントがうまくいかないケースは、決して珍しくない。
サービスは入っているのにうまく回らない
本人の不満が消えない
家族と意見が合わない
変更しても改善しない
こうしたケースに対して、「情報が足りない」「アセスメント不足」とされることが多い。
しかし実際には、問題の本質はそこではないことが多い。
うまくいかないケースには、共通する“構造のズレ”がある。

◆① 「問題」が先に決まりすぎている
うまくいかないケースの多くは、最初にこうなっている。
転倒している → 転倒予防
独居 → 見守り強化
認知症 → 安全確保
退院直後 → 在宅復帰支援
つまり、状態から課題が即決されている。
この時点で、すでにズレが始まっている。
なぜなら「問題」とされているものは、
必ずしも本人の“困りごと”と一致していないからだ。

◆② 本人の「生活の基準」が扱われていない
支援がうまくいかないケースでは、共通してこれが抜けている。
本人にとっての普通の生活とは何か
どこまでなら許容できるのか
何を守りたいと思っているのか
これが抜けると、支援はこうなる。
正しい支援だが、本人には合わない支援
ケアマネジメントの難しさはここにある。
「正しいこと」と「その人に合うこと」は一致しない。

◆③ サービスが「目的」になっている
うまくいかないケースでは、よく起きている。
デイサービスを入れることが目的になる
訪問介護を組むことが目的になる
福祉用具を導入することが目的になる
しかし本来は逆である。
サービスは手段であって目的ではない。
目的はあくまで、
どう生きたいか
どう暮らしたいか
何を守りたいか
ここが見えないままサービスが積み上がると、支援は形だけになる。

◆「うまくいかないケース」は能力の問題ではない
重要なのはここである。
うまくいかない原因は、ケアマネの能力不足ではない。
多くの場合は、
情報量の問題でもなく
経験値の問題でもなく
制度理解の問題でもない
“構造のズレ”で起きている。

◆ 構造のズレとは何か
簡単に言うとこういう状態である。
状態 → 課題 → サービス
ではなく
状態 → 先に課題が固定 → サービス調整
この“飛ばし”が起きることで、
本人の生活の意味が途中で消える。

◆ うまくいくケースとの違い
うまくいくケースには共通点がある。
それは、
課題がすぐに決まらない
本人の話で何度も修正される
支援の目的が途中で変わる
つまり「揺れ」がある。
この揺れがある支援ほど、結果的にうまくいく。

◆ まとめ
ケアマネジメントがうまくいかないケースは、能力ではなく構造の問題である。
特に重要なのはこの3つ。
問題が先に固定されている
本人の生活基準が扱われていない
サービスが目的化している
このどれか1つでも起きると、支援はズレ始める。
ケアマネジメントの本質は「正しく当てること」ではなく、
ズレを修正し続けるプロセスである。