第1話|私は1歳で、家族を失った。

人は、

自分が1歳の頃の記憶なんて、

ほとんどありません。

もちろん、

私にもありません。

でも、

その頃に起きた出来事は、

その後の人生を大きく左右しました。


私が1歳の時、両親は離婚。

私は父に引き取られ、

祖父母と暮らすことになりました。


幼い私は、

「離婚」

という言葉の意味も知りません。


ただ、

どこかでいつも感じていました。

「うちの家は、何か違う。」

友達がお母さんと手をつないで歩く姿。

学校行事で家族が笑い合う姿。

その光景を見るたびに、

胸の奥が少しだけ痛くなりました。


「どうして私には、お母さんがいないんだろう。」


誰にも言えないその疑問を、

幼い私は心の奥にしまい込みました。

今なら分かります。


家族を失ったことよりも、

「寂しい」

と言えなかったことの方が、

ずっと苦しかったのだと。


あの日、

小さな私が抱えた寂しさは、

大人になってからも心のどこかに残り続けました。


でも、

その経験があったからこそ、

今、

私は人の寂しさに気づけるようになりました。

傷は消えない。

でも、

誰かに寄り添える力には変えられる。

そう信じています。



次回は、

「父の怒鳴り声が、毎日のBGMだった。」をお届けします。


ナカシマ凛