養育里親・特別養子縁組について勉強しています。

 

 

 

 

「里親の不足」ではなく, 「支援がなくても委託できる」里親の不足

 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jws/15/0/15_93/_pdf

 

 

※抜粋です。

 

 インタビュー調査の結果、里親が不足しているのではなく、「任せられる」 里親が不足していることが明らかになった。

「任せられる」里親とは、児童相談所の支援があまりなくとも子どもを養育していける里親を意味していた。

結局、児童相談所による里親への支援が可能な環境を整備することが重要であると考えられる。

 

 

~中略~

 

 

こどもを「任せられる」里親登録者と「任せられない」里親登録者を区分するものは何なのか。

結論を端的にのべれば、それは里親の経験があり、かつ児相にとって「子どもによい支援をしてくれる」里親であった。

児相があまり支援しなくとも子どもによい養育をすることのできる里親経験者には里親委託が可能だが、

そうでないものには難しいと判断されている。

だが、この論理を極論すれば、新規の里親が出現することは望まれないことになり、

新規の里親登録者が何万人いようと常に「里親が足りない」ことになる。

このように、「里親のなり手がいない」のではなく「任せられる里親」がいないために「里親が不足している」から

「里親委託ができない」と認識されて いたのである。

 

 

~中略~

 

 

「里親が不足している」という言説は、本来のその原因は児相による里親への支援が困難である点にあるのにもかかわらず、

「里親のなり手が出てこない」社会に問題があるかのように、結果的には論理をすり替えてしまったのではないだろうか。

 

最も重要視されるべきなのは児相(あるいはその他の里親支援機関)による里親への支援が可能な環境を整備することであるのに、「里親の不足という人々の側の問題」に原因が帰属されたことで、里親への「支援」 の不足という公的な責任が不可視化されてきたように思われる。

 

 

 

 

以前、フォスタリング機関向けの研修に参加したことがあります。

 

それは、フォスタリング機関が「里親」をどのように見ているのか、

どのように支援をして行こうと考えているのか、

「向こう側」の人の考えを知りたかったからです。

 

いろいろな場所で話を聞いていると、

「力のあるフォスタリング機関」もあれば

「これからです」という機関もあることがわかってきます。

それでも、里親支援を強化しようという空気が育ってきたことはありがたいことです。

 

 

 

論文の中の、インタビューの中でこんな発言がありました。

 

A:家庭訪問すると心配になっちゃう。大丈夫かな、受け入れてもらえるかな、って。

これから委託しようと思っている子どもは、めちゃくちゃ壁に穴をあけると思うけど…大丈夫かな、と。

 

 

この発言ですが、私もリアルで言われたことがあります。

里親に出したい子ども達はたくさんいるけれど、どんな反応が出るのかわからない。

もしかしたら、壁や床に穴が開くかもしれない。

そういう可能性をも含めて、大丈夫と言ってくれる方がいるか・・・。

 

う~ん、壁や床に穴が開くかもしれないと言われて、

笑顔で「どうぞ」という人はまず居ないと思います。

でも冷静に考えると、初対面でいきなり穴を開ける子どもは居ないと思っています。

長期委託で、「見せかけの良い子」が終わってからが本当の始まりなのでしょうね。

 

里親の側にしてみたら、「自分の家が安心できない場所」になるのだから、

「どうぞ」というのは、とても勇気がいること。

これが、「職場として施設で働く職員」とは決定的に違う部分です。

里親はリフォーム代が出ると言われていますが、私の知る里親さんは

「里子がパンチして開けた穴は、そのままになっている。」とおっしゃっていました。

 

 

そう、里親保険は「受託中の『里子が受傷したら』使うもの」だそうです。

つまり、里子が壊した家財・里親や里親宅の実子が里子により受傷した場合は、

原則、自己負担になるのだそうです。

(現状と異なっていたら、教えてくださいませ。m(__)m)

 

11/6追記

里親Dさんが里親保険について、補足してくださいました。

ありがとうございます。

 

 

 

里親保険は委託の子どもが他のお宅の物を壊してしまった。等にも使えます。

 

しかし、自宅で壊れたものは対象になっていません。

タブレット壊したとか、壁に穴あけた・破ったとか、カーテンはさみで切ったとかの対応はないです。

 

児相にはそういった保険はないのか?

保険考えてください。とは伝えたので、来年あたり加入できるといいのですが。

 

今のところ、任意で入れる保険があり、それに僕は入っています。

タブレットなどには使えますが壁の穴、破ったなどは保険使えなかったです。

 

でも、壁の穴、あきらめないでください。直す方法はあります。

壁などはリフォームの申請をして許可がおりれば直せますよ~。

 

全ての金額が許可おりる訳ではありませんが結構な金額の補助が出ます。

 

 

 

いやいや里親手当てがあるでしょ?と思われるかもしれませんが、

「家に穴が開く…」が続いたら、心の平穏が脅かされますので病んでしまいます。

里親さん側から「措置解除してください」と言いたくなる気持ちもわかります。

 

穴が開くリスクや保険制度をを考えたら、

なるべくそういう里子さんは回避・・・となってしまうのは

致し方ない側面はあると思っています。

 

こういった里子さんを受託した場合、里親さんにはどのような支援が必要だと思いますか?

一緒に考えていただけると嬉しいです。

 

 

お読みいただき、ありがとうございました。