記憶の回収~ Retrieval

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頭の転換が遅くなって来ました…。
先日、リンキンのライブへ行って来たとき、
つくづく感じたことがあります。
英語でしゃべってると、もう日本語がほとんど出なくなるって事です。
普段はその逆ももちろんあるんですがね。
一緒に行ったメンツも悪い。
ケンとグレッグとエリックのオトコ4人です。
誰も自分の車を持ってないし、駐車スペースもわからないから、
電車で行きましたよ。六本木から新横浜まで。
このメンツ、ストーカーみたいな読者以外わからないと思うんですが、
あまり「外人」には見えません。
確かにエリックは白人で英語しかしゃべりませんが、小さい。
だから日本人の人ごみにすぐ飲み込まれます。
ケンは香港出身で中国系の顔。やっぱ背は低め。
そしてグレッグはコリアンアメリカン。
ニキビ面引っさげた、180cmくらいの韓国顔。
そいでワシ。ちょっと濃い目だけど、やっぱ日本人。
このショーツ姿の4人で、べらべら東横線の中で英語が飛び交うと、
きっと台湾か韓国からの観光客に見えたかもしれません。
改札を通るときも、IC認識に慣れないモンで引っかかる。
後でケンに訊かれました。
「テリサン、なんで後ろの人にソーリーって言うたん?」(←英語で)
「えっ?ワシそんな風に言っとった?」(←英語で)
「言うてたやん、Oh, sorry !って」(←英語で)
あっそう。ま、1人でもよくやるね。
ちびまるこちゃんのハナワくん状態。
キザるつもりはまったく(!)ないんだけど。
っつーか、英語にそこまでの気取りを感じてないし。
その後も完全にしっちゃかめっちゃか。
バナナシェイクを頼むんでも、発音がバナ~ナシェイク♪になってるし、
もうただのヘンなオッサン状態です。
このままアジア系外国人に思われたほうがよっぽどマシ。
これは精神状態にももちろん影響を及ぼし、ライブまで続きます。
リンキン様といえば世界で何千万枚のアルバムを売ってるトップ10アーティスト。
そいつらに向かって平気で話しかける。同等意識みたいな?
ステージにゲキを飛ばす、大声で叫ぶ、指図する、返事する。
ああ~この人いったい何~?
と、今思えば周りから非難の目で見られていたに違いない。
ワシは単にマイクがカンペがなくて困ってると思ったから、
雰囲気救おうとして叫んだだけなんだけど…
みなさんもきっと隣にいたら嫌がったことでしょう。
KYと呼ばれるかもしれません。
幸い周りの子たちとは打ち解けて、
最後にはグーパンチでさよならもできたけど、
昨日はなんとなく冷めて、自分の姿を思い浮かべるようなことがあり、
このまま行くと分裂症になるのかな~なんてふと考えました。

よく寝言を英語で言えるようになれば英語も本物、と言いますが、
そこまでなったら、あなたももう、この分裂症の始まりかもしれません。
文型からイントネーション、発想のしかたまで違う英語ですから、
ひょいひょい台本を読むようには出てきません。
裏を返せば、普段すべてを日本語で過ごしてる人が、
さあ、英語で話しましょう、となればそれなりの環境の変化が必要です。
よく言うスイッチの転換は、歳とともに今のデジタル機器のように遅くなります。
いろんな情報を前段階として起動しなければいけないからです。
1度自転車に乗れたなら、一生乗れる、というようには、
言葉は行かないものです。
脳から日々こぼれ落ちていく記憶、語彙。
新しい情報も入ってるでしょうが、取り出すのに時間がかかる。
脳科学者によれば、インプットの段階よりも、このアウトプットが難しくなります。
英語で言えば
encoding ⇒ storing ⇒ retrieving (記憶、蓄積、回収)
この「回収」の段階こそ、実生活で大事なことだと思います。
記憶の回収 Retrieval には4種類あります。
全部 Re-がつきますよ。
Recall 何も考えずとも記憶にアクセスできること。
テストの空白埋め問題などはこの能力が発揮されます。
Recollection 論理的な思考を重ねて思い出すこと。
記憶の断片やヒントから、探してる答えを再構築します。
論文のテストなどではかなり大事な能力です。
Recognition 前にした経験をもとに再認識すること。
4択問題などは、以前やった問題を思い出して、選ぶことが容易になります。
Relearning 前に学習したことをまた違うときに学んで、それを認識する。
これは記憶術としては強力です。長く覚えていられるし回収も容易です。
話はそれましたが、思考の転換がうまく行かないのは年齢のせいばかりではなく、
この回収方法によるものだったわけです。
英語を話しているときには英語用の記憶庫が開き、
(これもしまうときの注意や工夫が必要ですが)
そこからスムーズに流れてきます。
日本語の思考のときに、別の場所にある英語保管場所から持ってくるのは
時間も掛かります。出てくるのはカタカナ英語だったりしますよね?
そこで今度英語を話さなければならなくなったら、
なるべく起動が早まるように、ちょっとした準備運動をオススメします。
なんでもいいんですが、英語の歌だとか、英語の雑誌の10行分くらいとか、
耳や目にしておいたり、口にしたりするだけで、
脳には英語モードの信号が送られます。
会話スクールに行くまでの間、宿題とかレッスンのテーマを予習するのではなく、
前回の授業の雰囲気を思い出すのです。
友達に会うときもそう。前回笑顔でさよならしたときのことを思い出しながら、
再びハロー!
そんなちょっとしたスイッチの転換で、すでに脳に入ってる英語の記憶を
スムーズに呼び戻せるかもしれません。
ワシの義父が調子悪くて寝付いたとき、思い出す能力も落ちました。
それならよく覚えてる記憶から取り出してやろうと、戦後のことや、
学生時代のことを聞くことから始めました。
案の定、昔のことはよく覚えていて、数珠繋ぎに思い出します。
流行歌や飲み歩いたバーの女性のことまで出てきました。
地下鉄のことが出てきたときから、コレはいけると思いましたよ。
…ワシの場合は、もっと日本人であることを自覚すること。
外に出たらそこは高層ビルが覆いかぶさるマンハッタンではなく、
杉並木がある東京の住宅街であることを思い浮かべるべきでしょうねo(〃^▽^〃)o