讃える人は伸びる

いや~、なんであんなにおもしろいんでしょうか?
のっけからわかりませんね?
高校野球のことです。
普段プロ野球にはあまり興味がありません。
春の選抜も観たことがありません。
でも夏の甲子園、
高校球児の熱戦は、
見始めると目が離せなくなります。
ワシは駅伝も大学対抗の箱根が好きなんですが、
どちらも普段はこの種のスポーツにあまり興味ない人が
けっこう見ていると思います。
アマチュアリズムとはいっても、
各校がコネと金を使って集めてきた選手が多い。
そうした批判もあるかもしれないけど、
本人たちにはそんな打算や計算をする余裕はない。
学生特有のあの悲壮感。
今がすべて。
勝つこと、負けないことにみんなが集中して、
出てくる出てくるガッツとミラクルプレイ。
プロならフェンスまでの目測もしっかりしてるのか、
ファウルと見極めて追わないボールも必死に追う。
網にぶつかっても追う。怪我しても捕る。
いい意味でバカかと思うほど、球しか見ない、見えない。
そんなひたむきな姿に感動する。
有り余るほどの緊張感が選手全員にみなぎる。
声を上げてる選手も空元気。ビビりまくり、興奮しまくり。
先走った走塁や大暴投などのミスも多く出るけど、
実力以上のプレイも出る。なんでアレが取れるのか?
何であんな遠くから球まっすぐ投げ返せるのか。
観てるとどっちも勝たせてやりたい。
負けてほしくない、と優柔不断な観戦者。
選手のアップに光る汗や涙が胸をつかむ。
それでも勝負はフシギにもつき、
勝ったチームの笑顔と、負けたチームのいろんな顔。
やり終えた、という満足感と疲労感。
もっとできたらという悔しさと、自己反省。
複雑な表情が敗者たちに浮かぶ。
試合後インタビューで両チームの談話が入る。
仕切りに選手を誉める監督、自己反省する監督。
中でも勝って不思議がる監督はおもしろい。
負けに不思議なし、勝ちにフシギの勝ちあり。
負けたときには必ず理由があるけれど、
勝ったときには実力以上のものが出たという不思議がある。
試験や仕事でもそうだ。
そんな運や実地での強さを讃える。
そして両チーム投げきった投手のインタビュー。
勝って相手投手の健闘をねぎらい、技を尊敬し、讃える。
負けて悔いなし、出し切った、相手が上だったと認める。
しっかりした口調と内容。
こういう高校生は伸びるんだろう、と感心した。
野球だけじゃなくて人生でも。
終わって悔しがるのも次へのモチベーション。
観察、分析、自己反省も次への勉強。
しかし、勝った相手を自分より上と認め讃えることは
すでに自分の目標を引き上げているのかな、と。
それは自分のまわりの限界を広げてるのかなと。
小笠原諸島で地元の貝殻を宿として、
長年小さな体を作っていたヤドカリが、
外来種のマイマイのカラを見つけて飛躍的に大きくなったように、
自分の目標を高く掲げ、伸びしろを大きくした球児に、
頼もしさと日本の明るい将来までを感じてしまうのは、
大いに感動させられた自分への照れ隠しかもしれませんね。