■「日本文化伝える首都のシンボル必要」
「外から日本を見た経験があるから、この計画は必要だと思ったんです」。天守台で待ち合わせた老舗洋菓子店のオーナーシェフ、細内進さん(74)は、再建する会に参加した理由をこう語った。記憶に鮮明に残っているのは、20代にスイスやフランスで修業した際の体験だ。日本の文化を伝えようと現地の人に見せた絵はがきは、法隆寺や清水寺と関西の史跡ばかり。相手が持つ日本のイメージはゲイシャやフジヤマのままだった。「首都である東京に日本文化を伝えるシンボルが必要だ」と痛感した。
東京タワーやスカイツリーはあっても、東京にはかつて世界が憧れた江戸時代の文化を伝えるランドマークがない。同じように史跡を失った海外の国には、「首都アイデンティティーの確立」を掲げてベルリン王宮を再建中のドイツや、ワルシャワの旧市街を再現して世界遺産に登録されたポーランドのような取り組みがある。
「工業立国、農業立国、貿易立国などとやかましく叫んで、多くの金を費やした」、「観光立国こそ、わが国がもっとも適しているものに、その基礎を置いている」。経営の神様、故松下幸之助氏が雑誌『文芸春秋』に論文「観光立国の弁」を載せたのは1954年のことだ。
それから60年。三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の嶋中雄二所長の試算によれば、2013年度の観光関連産業は、名目GDPの3.5%を占める16.7兆円。輸送機械(16.5兆円)や電気・電子産業(14.9兆円)を上回る。今年4月の旅行収支は44年ぶりに黒字に転換。観光振興の重要度は年々高まっている。
10万人以上の犠牲者を出した明暦の大火の後、4代将軍家綱の補佐役として復興を指揮した会津藩主の保科正之は、「今は町家の復旧に力を入れるべきだ」と江戸城天守閣の再建を諦める英断を下した。それから約360年。成長戦略として観光立国を目指すなか、木造技術という日本文化の広告塔として江戸城天守閣の再建計画が必要かどうか。固定観念を捨てて考える時期が来ているのかもしれない。
「外から日本を見た経験があるから、この計画は必要だと思ったんです」。天守台で待ち合わせた老舗洋菓子店のオーナーシェフ、細内進さん(74)は、再建する会に参加した理由をこう語った。記憶に鮮明に残っているのは、20代にスイスやフランスで修業した際の体験だ。日本の文化を伝えようと現地の人に見せた絵はがきは、法隆寺や清水寺と関西の史跡ばかり。相手が持つ日本のイメージはゲイシャやフジヤマのままだった。「首都である東京に日本文化を伝えるシンボルが必要だ」と痛感した。
東京タワーやスカイツリーはあっても、東京にはかつて世界が憧れた江戸時代の文化を伝えるランドマークがない。同じように史跡を失った海外の国には、「首都アイデンティティーの確立」を掲げてベルリン王宮を再建中のドイツや、ワルシャワの旧市街を再現して世界遺産に登録されたポーランドのような取り組みがある。
「工業立国、農業立国、貿易立国などとやかましく叫んで、多くの金を費やした」、「観光立国こそ、わが国がもっとも適しているものに、その基礎を置いている」。経営の神様、故松下幸之助氏が雑誌『文芸春秋』に論文「観光立国の弁」を載せたのは1954年のことだ。
それから60年。三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の嶋中雄二所長の試算によれば、2013年度の観光関連産業は、名目GDPの3.5%を占める16.7兆円。輸送機械(16.5兆円)や電気・電子産業(14.9兆円)を上回る。今年4月の旅行収支は44年ぶりに黒字に転換。観光振興の重要度は年々高まっている。
10万人以上の犠牲者を出した明暦の大火の後、4代将軍家綱の補佐役として復興を指揮した会津藩主の保科正之は、「今は町家の復旧に力を入れるべきだ」と江戸城天守閣の再建を諦める英断を下した。それから約360年。成長戦略として観光立国を目指すなか、木造技術という日本文化の広告塔として江戸城天守閣の再建計画が必要かどうか。固定観念を捨てて考える時期が来ているのかもしれない。